2018年7月20日(金)

多発する不祥事 経営者に求められる資質とは
細田孝宏日経ビジネス副編集長に聞く

日経プラス10「フカヨミ」
2017/12/25 10:00
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小谷:まずはこちらをご覧ください。今年起こった主な不祥事をまとめました。上半期には、アスクルの物流拠点で大規模火災があり、約9万人の旅行者を巻き込んだ格安旅行会社てるみくらぶの自己破産申請などがありました。記憶に新しいところでは、9月に発覚した日産自動車による無資格検査問題。これを発端に、大手製造業で品質管理に関わる不正の発覚が相次ぎました。いざ不祥事が起きた際に経営者が取るべき対応とはどのようなものでしょうか。「日経ビジネス」の細田孝宏副編集長に聞きます。日経ビジネスでは「謝罪の流儀」と題した特集を組んだそうですね。

小谷真生子メインキャスター

小谷真生子メインキャスター

細田孝宏日経ビジネス副編集長(12月18日放送)

細田孝宏日経ビジネス副編集長(12月18日放送)


■日産と神戸製鋼 失策の共通項

 「はい。12月18日号の特集の中で『対応に疑問をもたれた事例の検証』と『経営者に求められる対応』の2つをまとめました」

小谷:順を追って伺いますが、まず「対応に疑問をもたれた事例の検証」とは、どういうものでしょう。

 「具体的には日産自動車と神戸製鋼所のケースです。この2社に共通するのは、発覚後の対応が批判を招いた点です。まず、神戸製鋼の事例から説明しますと、10月8日に緊急記者会見を開き、アルミ・銅部材の品質データ改ざんを公表しました。そのわずか3日後の11日に鉄粉などのデータ改ざんが明らかになり、再び記者会見を開くことになりました。その翌日には川崎博也会長兼社長が会見し、主力の鉄鋼事業について『鉄粉以外に不正はない』と説明しましたが、翌日になって鉄鋼事業の4つの案件でデータ改ざんがあったと再び記者会見を開くことになりました。1週間で4回、記者会見を開いたわけです。不祥事が発覚した時にまず必要なのは迅速かつ正確な事実の把握、そしてそれを速やかに公表することなんですが、神戸製鋼の場合はバラバラと五月雨式に事実が明らかになり、それが不信感を招いて株価が大幅に下落、投資家の信頼も失う形になってしまったと言えるかと思います」


小谷:では日産の対応はどこが良くなかったのでしょうか。

 「日産自動車の対応は、まず記者会見が一般的な日本企業に見られる謝罪会見とは若干異なり、釈明・説明の色が強い会見でした。西川広人社長は一人で記者会見に出て淡々と記者の質問に答えました。グローバル企業として『謝罪』ではなく『釈明』というスタンスだったのかなと思われますが、危機管理の専門家が注目したのはその服装です。シャツが(カジュアルとされる)ボタンダウンで、ネクタイが少し派手ではないかと。非常に細かいことですが、不祥事後の会見にはふさわしくないのではないかという指摘があります」

小谷:では不祥事が起きてしまった際に、経営者はどう対応すべきなんでしょうか。

■アスクル 正確な情報公開で“火消し”

 「1つのヒントとなるのが、2月に中核の物流拠点で火災が発生したアスクルの対応です。そのポイントとして挙げられるのが『トップ自ら迅速に動くこと』。それから『正確な情報を徹底してオープンにする』ことです。まず、火災が発生した時、一報を受けた岩田彰一郎社長は即座に情報の収集を指示し、対策本部を設置して自ら本部長に就きました。社員は発生当日から近隣住民を訪問しておわびと説明を始めました。一方で、火災の影響を分析し他の物流拠点に業務を振り分けるなど、取引先の不安解消にも徹底して取り組みました。もう一つの『正確な情報をオープンにする』ですが、延焼中に倉庫内で小規模の爆発があり、危険物があるのではないかと憶測が流れ始めた時に、アスクルは基本的には社外秘である倉庫内の図面や在庫の配置図を公表して、不安の払拭に努めました。これがいらぬ憶測が広がるのを防ぐことにつながったと思います」

小谷:岩田社長が自ら迅速に動いて、情報開示を徹底したと。

 「本来は社外秘、ノウハウが詰まっている部分ですが、こういった状況では不安を払拭しない限り対応に批判が集まります。そうしたことも踏まえ、きちんと対応されたんだと思います」

小谷:社外秘を公開するマイナスよりも、社外秘も含めて公開した評価の方が後で高くなるということもありますね。

 「そうですね」

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