2019年6月24日(月)

世界で進む温暖化対策 日本の選択は
安藤淳論説委員に聞く

2017/12/18 10:00
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小谷:あす(12月12日)からパリで気候変動対策を議論する首脳会議が開かれます。この会議は、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の採択からちょうど2年の節目に開かれ、約100カ国の首脳や閣僚が出席します。日本からは河野太郎外相が出席することになりました。いま日本は温暖化対策に消極的だとして国際社会から批判を浴びています。いったいどうしてなのか。地球温暖化問題の取材を続ける日本経済新聞の安藤淳論説委員に聞きます。まず、今回の首脳会議はどれくらい重要なものなのでしょうか。

小谷真生子メインキャスター

小谷真生子メインキャスター

安藤淳論説委員(12月11日放送)

安藤淳論説委員(12月11日放送)


■パリ協定採択から2年 薄い日本の存在感

「『One Planet Summit』という名前で開かれ、温暖化対策の加速に向けて首脳レベルの意思を再確認するのが狙いです。開催国フランスのマクロン大統領のほか、米カルフォルニア州のブラウン知事らが参加する予定です。企業トップも来ます。パリ協定では『今世紀末までの地球の平均気温の上昇を、産業革命前と比べて2度を十分に下回るようにする』といった目標を決めています。実現のためには再生可能エネルギーの普及、低炭素技術の開発、途上国に対する支援、排出量取引制度や炭素税の導入といった対策が必要だとされています。今回は20年以降の温暖化対策がスムーズにいくよう勢いをつけるという会議で、ムードを盛り上げる一種お祭りのような側面もあります」

小谷:この会議に安倍晋三首相が参加せず、先月開かれた第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)でも、日本の消極姿勢に対し批判が出たようですが、大丈夫でしょうか?

「今回、各国の首脳で参加するのは全体の半分以下ですので、安倍首相が参加しないこと自体はそれほど問題ではありません。ただ、COP23では私も現地・ボンに行き、日本に対する否定的な声、疑問の声を多く耳にしました。中国の大手メディアの記者から、日本は米国と一緒にパリ協定を離脱するのかと聞かれ、驚きました」

小谷:なぜそこまで日本は批判的に見られるようになったのでしょう。

■世界で進む脱石炭 日本のいまは?

「理由は簡単にいうと3つあります。『石炭火力へのこだわり』『米国との協力関係』『長期戦略がない』です。日本は次世代の火力発電をクリーン・コール・テクノロジーとして推進していますが、他の国からは『石炭には変わりないじゃないか』と言われ、冷たい目で見られています。さらに、日本は石炭火力発電所を海外にも輸出していて、これについても国連気候変動枠組み条約の前事務局長が会場で批判的なコメントをしていました。会場近くでは連日、様々なデモや運動がありますが、『END COAL』、石炭使用をやめろというのぼりも見られ、日本をターゲットにしていることも結構ありました。それと、英国やカナダが主導し温暖化ガスを排出する石炭火力を全廃しようという国家連合も立ち上がりましたが、日本は参加していません」


小谷:2つ目の「米国との協力関係」。これはなぜですか?

「トランプ大統領は米国がパリ協定から離脱すると正式に表明しましたが、日本は米国が将来再びパリ協定に戻るかもしれないことを念頭に、技術協力など温暖化対策を一緒にやっていこうとCOP23でも確認しました。ところが、これが一部の人たちに『なんだ米国と一緒じゃないか』という印象を与えたようです。米国と同じ抵抗勢力という見方もあって、日本に向けられた目はかなり厳しいものがあります」

小谷:そして、3つ目の「長期戦略がない」。そうなんですか?

「完全にないというと言い過ぎかもしれませんが、パリ協定の下、各国は既に提出済みの30年前後までの削減目標に加えて、今世紀半ばにかけての長期目標をつくり2020年までに提出することになっています。ところが、日本はこの作成が遅れています。なぜかというと環境省と経産省が温暖化対策について別々の報告書をまとめていて、これから擦り合わせるという状況なのです」

小谷:日本は世界の温暖化対策の動きに、どのような立ち位置で臨めばいいのでしょうか?

■世界で進む温暖化対策 日本の課題は?

「日本もやることはやっていますので、まず、関係省庁がしっかりと連携して日本の中長期的なロードマップを作ります。今後の削減目標をさらに上げていかなければいけないわけですが、ロードマップがないとそれが上手くできません。それから、日本は温暖化ガスの観測や省エネ技術など、技術面では非常に頼りにされていますので、そういった強みを生かしてさまざまな国と協力し情報も積極的に発信していくことが必要だと思います。サミットではビジネスモデルの提示や資金をどういう形で出すか、イノベーションにどのように取り組むかがテーマですので、日本が存在感を示すチャンスでもあるといえます」

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