黒船グルーポン追うリクルートの勝算
反転攻勢の裏に「愚直な策」

(5/6ページ)
2011/2/17 7:00
保存
共有
印刷
その他

「クライアントの固定費をいかに無駄にせず、全体の稼働率を上げるか。集客コストを見ながら、稼働率の平準化を図る補完ツールとしてポンパレを提案させていただいている。ホットペッパーのクライアントでポンパレ以外のクーポンサイトを使っているところは、2割もない」

前澤編集長がそう話すように、無理にポンパレを勧めず、必要なときに提案するというスタンスが、既存媒体とポンパレ、両者のシナジーに結びついているという。たとえば、都心部の飲食店を受け持つホットペッパーの営業担当が、付き合いのある居酒屋に出向いたとき、オーナーが「平日はいいんだけど、土日が埋まらないんだよね」とこぼしたという。営業担当は「土日だけのためにホットペッパーを使うのは非効率」とポンパレの利用を提案し、実現した。

■じゃらんの領域で「世界で一番高いクーポン」を企画

この延長線上で力を入れているのが、新領域のプランナーが次々と実現させているような、ニッチな商材の発掘だ。「既存媒体がカバーしている領域でも、これまでに扱ったことのない、驚きや発見がある商品やサービスはたくさんある」。前澤編集長が「たぶん、世界で一番高い」と例に挙げるのが、10年12月にお目見えした温泉旅館のクーポンだ。

10年12月に掲載された28万2000円のクーポン

10年12月に掲載された28万2000円のクーポン

「一生に一度の贅沢を大切な人と心ゆくまで堪能!露天付離れ宿の宿泊にヴィンテージワインが付いた極上プラン」と銘打たれたクーポンの値段は、50%OFFでも28万2000円。全5部屋のすべてが離れで露天風呂付きという、栃木県の温泉旅館「日光はなぶさ」が掲載した。といっても、通常料金は1泊2食付きで1人3万円からと、驚くほどの値段ではない。

クーポンの対象となったのは、09年5月からひっそりと扱っていた、高級ワイン「ペトリュス」が1本付くプランである。ワインはオーナーの所蔵品で、入手困難の代物。市価は、25万円以上もする。一般の人には縁のないプランで、じゃらんに載せても意味がない。言い換えれば、既存媒体で扱えなかった商材。ところが、このプランを知ったじゃらんの営業担当が半額のクーポンに仕立てたところ、上限の3枚が好事家に売れた。前澤編集長は言う。

「フラッシュマーケティングは低価格のイメージがすごく強いけれど、決してそういうわけでもなく、高額商品も売れることがわかってきた。もともと、じゃらんでカギ付き露天風呂特集を提案したり、ホットペッパーで女子会プランを提案したりと、ひねって顧客ニーズを発掘する手法はいろんな領域でやってきている。それがすごくポンパレにも生きている」

組織力の発揮は、クーポンの発掘にとどまらない。クーポンサイトのビジネスモデルの基本的な構図は、どこも同じ。クーポンサイトが抱えるさまざまな「危うさ」は、すなわちポンパレの危うさとも言える。このリスク回避にも組織力を生かそうとしている。

■厳格な審査で「曖昧な資料は、ぜんぶ突っ返す」

「自分たちで自分たちの首を絞めていると思うほど、本当にルールでがんじがらめ」。前澤編集長がこう自嘲気味に話すほど、ポンパレは審査体制にこだわっているという。

まず、掲載してもよい企業か否かを判断する「掲載審査」を、全社共通で与信管理をしている部門が実施する。すでに採用支援などで取引がある場合が多く、その実績などを照合。さらに、過去販売でトラブルを起こしていないか、消費者庁のトラブル事案に上がっていないか、念を入れて調査するという。

これをクリアすると、今度は表示している価格が妥当か、二重価格違反になっていないかを判断する「価格審査」に入る。店舗には、通常価格として認められる要件を満たしていることを証明する「実績確認書」の提出を必ず求めている。この内容を、ポンパレのために新設した10人ほどの審査チームが確認する。通常価格の根拠となる証拠がなければ、審査は通らない。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連記事

電子版トップ



[PR]