黒船グルーポン追うリクルートの勝算
反転攻勢の裏に「愚直な策」

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2011/2/17 7:00
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「広告を取ってくる、という感じではない。いい商品を自分たちで発掘して、納得していただけるような形に仕立てる企画屋」。北村室長がそう説明するように、新領域のプランナーは企画力勝負の"おもしろクーポン"も手がけつつある。その象徴が10年11月に登場した、プロ野球の優勝でおなじみの「ビールかけ」クーポンだ。

10年11月に掲載された「ビールかけ大会」のクーポン

10年11月に掲載された「ビールかけ大会」のクーポン

「プロ野球選手気分でビールかけ大会!通常31万円(50名分)のプランが51%OFFの15万円で体験できる。大会後はスパでほ~っこり」。掲載したのは、神戸市の三宮駅にほど近い天然温泉につかれる大型スパ施設「神戸サウナ&スパ」。女性や若年層へも浸透させるためにクーポンをやってみたいと、神戸サウナ側からポンパレに相談を持ちかけたことがきっかけだった。

さっそく大阪支社から出向いた新領域のプランナーは、話の合間の雑談でたまたまビールかけの存在を知る。神戸サウナでは、阪神タイガースが優勝に絡んだときなどに駐車場を開放し、不定期でビールかけイベントを開催していた。ずぶ濡れになってもすぐにスパで洗い流せるとあって好評を得ており、10年6月に「ビールかけ大会プラン」を商品化していた。

ただ、そのためだけに広告宣伝などのコストをかけるわけにはいかず、告知はホームページと館内の一部くらい。固定費が特段かからないため、普段は放置された状態で、利用があったのは半年でわずか1回だった。「広く周知し、利用しやすいように仕立てれば、数枚は売れる」。そう踏んだプランナーは「基本料金に50人分の発泡酒や入浴料、Tシャツ・短パン・タオルの貸し出し料などをセットにして、半額のクーポンにしてみませんか」と提案した。

■「3者3得」の関係を構築しやすい

結果は、半額でも15万円という高額商品にもかかわらず、上限の3枚を売り切った。2枚は会社の宴会向けだが、1枚は個人で、購入者はツイッターで参加者を募っていたという。2月下旬に、1枚目の利用が計画されている。

ほぼ同時期に掲載した女性専用フロアのクーポンも300枚の上限近い売れ行きだった。担当者は「神戸サウナの存在は知っているけれど、レディースフロアやフィットネスフロアを備えていることは知らなかったというお客さんが多かった。そういう方々への、いいきっかけづくりになったと思っている」と話す。

新領域の掲載店舗はニッチな業種が多いため、競争はさほど激しくなく、安売り競争に陥るリスクも低い。誰もが日常的に購入するような商材は少ないため、安売りを狙う「バーゲンハンター」が集中する可能性も低く、リピーターになる確率は高まる。消費者にとっては普段目にしないモノやサービスを発見することができ、お得に試すチャンスにもなる。そして、リクルートも既存媒体で扱えなかった新規市場を開拓できる。

確かに新領域の商材は、競争が激しい飲食やエステなどにくらべて、3者3得の関係を構築しやすいと言える。だからリクルートはこの1月、プランナーの人数を倍増させ、さらなる強化を図った。ただし、新領域の商材だけでポンパレを構成するわけにはいかない。ポンパレだけが新領域の商材を独占できるわけでもない。競合他社は、すぐさまキャッチアップしてくる。

実際、ポンパレの掲載以降、ほかの競合サイトでも家事代行やクリーニングのクーポンが増えた。手ぬぐい服の宿輪オーナーや神戸サウナのもとにも、ポンパレの掲載以降、「グルーポンも含めて営業の電話がよくかかってくるようになった」という。であれば、リクルートは何を強みとしていくのか。北村室長は、「組織力が武器になる」と強調する。

■既存媒体を抱える「組織力」が後支えに

「既存媒体を通じて、もともと消費者とクライアント、両方の接点を持っているところがポンパレの強み。組織をどう活用するか、そこに完全にかかっている」。組織の活用とは、既存の各媒体からポンパレへの導線を引いたり、メールマガジンを活用したりすることはもちろん、全国に散らばる既存媒体の営業担当約1500人がクーポンに固執せずに動ける体制を指す。

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