黒船グルーポン追うリクルートの勝算
反転攻勢の裏に「愚直な策」

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2011/2/17 7:00
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クーポンサイトと言えば、「飲食」というイメージが強い。だが、ポンパレに掲載されているクーポン全体のなかで、飲食関連は35%に過ぎない。25%が旅行、美容・健康、学習・教育関連。もっとも多くを占める残りの40%は、リクルートにとっては新領域の商材なのだという。つまり、ホットペッパー、ホットペッパービューティー、じゃらん、ケイコとマナブの既存4媒体に当てはまらない商材だ。

「今まで広告を出したくても、出し場に困っていた業種や領域では、完全に可能性を感じている。一瞬にして多くの人に知らしめることができ、しかも広告費を前金で用意する必要がないフラッシュマーケティングは、そうした業種にとって最高の術。3者でメリットを享受できる」

10年10月に掲載された「家事代行」のクーポン

10年10月に掲載された「家事代行」のクーポン

「たとえば家事代行の業種は、僕らが持っている媒体ではどこにも掲載できなかった。事業者は広告先をすごく探していて、『タクシー内のチラシ広告しか出したことがありませんでした』という世界。いざフラッシュマーケティングをやってみると、完売。世の中にニーズはあった」

前澤編集長がこう話すように、10年10月に売り出された「【23区限定】家事代行2時間サービスでキッチン、トイレ、お部屋のお掃除や洗濯・料理を。57%OFF2980円で!」というクーポンは、24時間を待たずに上限の100枚を売り切った。好評だったため、翌月に同じクーポンを150枚の上限で再掲載したところ、また完売した。

これを見た都内の同業他社や名古屋地域の業者がポンパレに掲載するなど、家事代行のクーポンは定番化しつつある。開拓が成功した例はこれにとどまらない。

■芸人の妻が始めた小さなショップの商品がヒット

ポンパレは、商品やサービスの存在自体が知られていない珍しい商材の開拓にも力を入れている。10年11月に登場したのは、子どもが書いた絵をプロのデザイナーが背景や色を足してアレンジし、額縁に入った「アート作品」に変えてくれるというクーポン。やや"マニアック"なサービスで、半額の割り引きでも7500円と比較的高額だが、上限近い41枚が購入された。

翌12月には、おそらく国内で唯一無二の専門店によるクーポンが、上限の200枚に達した。掲載したのは、子ども向けの「手ぬぐい服」だけを専門に扱う「Kerorin Baby」。オーナーの宿輪友美さんが芸人の夫(元「Rまにあ」のしゅく)を支えようと2年前に個人事業として始めた、小さなネット通販のショップだ。

手ぬぐい服は宿輪オーナーにとって小さな頃から身近な存在だった。出身地の静岡県焼津市では「1人3枚は持っているほどポピュラーな商品」。もともとは昭和初期に焼津の魚屋が築地の魚河岸でもらってきた手ぬぐいを服に仕立てたのが始まりで、肌触りや吸収性がよく、長年焼津市民に親しまれてきたという。

「手ぬぐい服」のクーポンを提供した「Kerorin Baby」のホームページ

「手ぬぐい服」のクーポンを提供した「Kerorin Baby」のホームページ

「魚河岸のデザインはちょっと好みが分かれるけれど、子ども向けのかわいいデザインだったら贈答品として絶対に喜ばれる。手ぬぐい服のすばらしさを何とか全国に伝えたい」。そんな思いを抱き、ビジネスを始めた宿輪オーナーは、ポンパレ側からの営業を受けて快諾した。

手ぬぐい服1着の価格は59%OFFの1980円。「採算がとれるギリギリのライン」だったが、宿輪オーナーは「やってよかった」と話す。「サイトのアクセスは2倍以上になり、通常の売り上げも少し上向いた。クーポン購入者のほとんどは贈答用で、先方に喜ばれたとお礼のメールをいただいたり、受け取った方が今度は自分の知り合いのために定価で買ってくれたりした。ブランド価値を下げるのであまり安売りはしたくないが、年に2、3回はやっていきたい」

■15万円の「ビールかけクーポン」が完売に

こうした新領域での商材を発掘するために、リクルートは新たな営業部隊を設置し、開拓を進めてきた。ほかの領域では、飲食はホットペッパー、旅行はじゃらんといった具合に、対応する既存媒体の営業担当がポンパレも兼ね、対外的にも「営業」と名乗っている。対して、新領域の営業部隊は「プランナー」と呼ばれ、名刺にもそう刷られている。

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