2017年11月22日(水)

議論本格化へ 憲法改正の行方
清水真人編集委員に聞く

日経プラス10「フカヨミ」
2017/11/13 10:00
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小谷:日本国憲法は今月3日で公布から71年を迎えました。先月行われた衆院選での与党の大勝を受け、憲法改正論議は活発化するのでしょうか。日本経済新聞の清水真人編集委員に聞きます。まずは議席数の確認です。与党は現在、衆参両院で、憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を保持しています。改憲を巡る論議はどう進むのでしょうか?

小谷真生子メインキャスター

小谷真生子メインキャスター

清水真人編集委員(11月7日放送)

清水真人編集委員(11月7日放送)


■衆院選で自民大勝 改憲論議に進展は

 「現在、衆院・参院で3分の2の議席を持っています。安倍晋三首相は野党との幅広い合意形成に努めると言っていますが、発議ができる3分の2議席を持っている間に話を進めたいと考えています。来年9月に自民党総裁選があり、安倍首相は改憲をてこに3選を成し遂げた上で、2019年夏に次の参議院選挙を迎えたいと考えています。それまでの間に衆院解散・総選挙というのは現時点で考えにくいので、19年夏がターゲットになります。基本的にはここまでに両院で3分の2議席あるのを生かして発議を目指したい。願わくば、もう一つのオプションとして、発議をもう少し早くして、国民投票を19年の参院選とセットで行うという考えもあります。憲法改正が是か否かという国民投票は単独だと否決されるリスクが大きいとの考え方が自民党にあるようで、参院選で安倍政権の信任とセットで問うた方がむしろ否決されにくいとみているようです」


小谷:改憲をめぐる論議はどこまで進展していますか?

 「ポイントを絞って説明します。安倍首相がかねて提案している9条の改正です。現在の9条第1項『戦争放棄』、第2項『戦力の不保持』などはそのまま維持した上で、新たに自衛隊の存在を明記するのが安倍提案です。これに対し、選挙の際に少し議論がありましたが、希望の党の小池百合子代表は『自衛隊だけ書いて防衛省は書かないのか、そうすると自衛隊だけが非常に重みを持ってしまい、政府あるいは政治に対して強くなりすぎるのではないか』と懸念を示しました」

小谷:つまるところ、政府と自衛隊の力関係が逆転するのではないかと。

 「極端にいうとそういうリスクはないのかと。実は憲法に書かれている国家組織の具体的な名前というのは非常に限られていて、国会、内閣、最高裁、会計検査院の4つしかありません。そこに『自衛隊』と書くと非常に重すぎるので、これは慎重に考えた方がよいという声が、改憲に反対ではない専門家からも出ています」

小谷:これに対し、安倍首相はどういう見解でしょうか。

 「衆院選前の党首討論会で新たな提案をしています。『シビリアンコントロール(文民統制)』についてもしっかり書き込んでいくと提案しています。シビリアンコントロールというのは政治が軍事に対して上に立つということです。例えば内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権者であるとか、自衛隊の様々な行動については必ず国会のコントロールの下に置くですとか、そういった原則も合わせて憲法に書けば、小池さんが言っているような懸念はあたらないというのが安倍首相の新しい提案です」


小谷:憲法9条以外の論点ではどんなものがあるのでしょうか。

■安倍1強と改憲 権力の「競争と集中」

 「野党第1党になった立憲民主党の枝野幸男代表の発言ですが、今回も突然、安倍首相が衆院解散・総選挙をやりました。憲法上、首相の専権事項でいつでも自由に衆院を解散できると解釈されていますが、これはもうやめようと。首相の解散権の制約こそ、まず憲法改正で議論すべきことではないかと提案しています。枝野さんは集団的自衛権を前提とする9条改正には反対しています。しかし、憲法改正そのものには反対ではない。このような検討であれば進んで議論するという立場です」

小谷:首相の解散権の制約、つまり内閣への権力の一極集中を阻止したいということですね。

 「政治学者などからは、平成の30年近くの間に首相に色々な権限が集中されたのは、スピーディーな決断を求めるという非常に合理的な改革でもありましたが、そろそろバランスを見直してもいいのではないかという議論が出ています。これだけ強くなった首相なのだから、いつでも解散できるという権限はなくても十分にリーダーシップを発揮できるのではという指摘です。権力の集中に対して、バランスをもう一度考えてみようじゃないかという考え方です」

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