/

AIスピーカーは生活をどう変える?

奥平和行編集委員に聞く

小谷:今、人工知能(AI)を搭載した「AIスピーカー」が話題を呼んでいます。「あすの天気は?」などと話しかけると、AIがその内容を認識し、天気や気温などを答えるというものです。私たちはこのAIスピーカーを使ってさまざまな情報を手に入れたり、家電製品などを操作したりすることができるといいます。このスピーカーは私たちの生活をどう変えていくのでしょうか。日本経済新聞の奥平和行編集委員に聞きます。奥平さんはAIスピーカーをご自宅で使っているそうですね?
小谷真生子・メインキャスター
奥平和行編集委員(9月18日放送)

米IT大手が相次ぎ製品化

「はい。実はLINEが8月に出荷を始めた『ウェーブ』という商品の先行体験版を手に入れて、1カ月ほど使ってみました。まだ機能は限られていますが、たとえば音楽を聴いたり、タイマーをセットしたり、天気予報を調べたりと、これまではスマートフォン(スマホ)を使って操作していたことが、音声でできるようになりました。全くスマホに手を触れることなく情報を得られるというのはなかなか新しい体験だなと、新鮮だなと感じています」


小谷:このAIスピーカーの市場は米国が先行しているようですね。

「ネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムが2014年に『エコー』という商品を発売しまして、販売台数は開示されていませんが、既に1100万台以上出荷したという情報もあります。その後、グーグルが『グーグルホーム』という商品を昨年出し、アップルも『ホームポッド』という商品を今年の年末までに発売するといわれています。日本勢に目を向けると、ソニーパナソニックがそれぞれ米国や欧州で近く発売します。ただこれらの商品は、脳みそに当たるAIはグーグルの製品を使っているということです。グーグルの製品そのものは日本に年内に上陸するといわれていて、来月発売という話もあります。アマゾンも水面下では日本語版の準備を進めているのではないかといわれています」

小谷:日本でAIスピーカーは普及していくんでしょうか?

AIスピーカーは日本でも普及する?

「『価格』『精度』『プライバシー』の3つの観点から検証してみたいと思います。まず『価格』ですが、海外でアマゾンやグーグルが販売しているのはだいたい1万円台から3万円台で、比較的購入しやすい価格になっていると思います」

小谷:もっと高いかと思ったら、意外と手ごろですね。

「アマゾンなどの先行企業の例を見てみるとわかりますが、消費者との接点を増やす狙いがあるようです。スピーカーを売ってもうけようというよりも、スピーカーを入り口にネット通販や音楽配信サービスをより多く使ってもらおうという狙いがあると思われます。もう一点はデータ収集です。AIは集めるデータ数が多いほど賢くなり、より便利になる特徴があるので、なるべく多くのデータを集めるために安く売ってたくさん普及させる狙いも考えられます」

小谷:2つ目の「精度」は?

「スピーカーが高い精度で言語を認識し、自然な会話を成り立たせるためには、膨大な言語データをAIに学習させる必要があります。米国の調査会社がAIスピーカーの頭脳にあたる音声アシスタントに5000の質問を投げかけたところ、4つある中では『グーグルアシスタント』が回答率、正答率ともに高いという結果が出ました。皆さんがご存じの通り、グーグルは日々、音声検索でも活用されていて、データ収集がうまくいっているのではないかと思います。もう1つ、LINEに関しては、アクティブユーザーが7000万といわれていて、グーグルやマイクロソフトなどに比べると利用者が少ないとの指摘もありますが、一方で、日本語に絞ると皆がLINEのアプリを非常に頻繁に使っているので、意外といい勝負になるのではないかという期待もあります」

小谷:そして、3つめは「プライバシー」です。

「企業側は情報をきちんと管理していると言いますが、たとえばアマゾンのアレクサだと、『アレクサ』と呼びかけたらすぐに反応します。詳しい機能でわかっていない部分もあるんですが、キーワードの前後から情報をとっている。つまり日常会話がアマゾンのサーバーにたまっていく特徴があるわけです。常に聞いているかはわからないけれど、ある程度保存されていると言われています」

小谷:私たちが雑談でここで話していることがデータとして保存されていると。

「実際、米国で殺人事件の際に警察がアマゾンにデータを開示せよと要求したことがあります。証拠として使えるのではないかという期待があるわけです。というように、プライバシーの問題があるので、メーカー側はきちんと説明しないといけないでしょう」

スピーカー以外にも?「AI」の今後

小谷:今後、AIスピーカーはどんな分野に広がるとみていますか。

「今回はスピーカーという形をしていますが、今後は自動車や家電などの分野に広がっていくことが期待されています。もともとコンピューターと人間の関係はキーボード、マウスから始まって、次はiPhoneでタッチパネルが入り、次は音声ではないかと。この辺がどう進化していくかが注目のポイントだと思います」

小谷:クルマに乗っても家の中にいても、私たちがしゃべることを「彼ら」が全部言語データとして収集するんですね。

「そういう日がやってきつつあります」

番組は日経電子版、テレビ東京ビジネスオンデマンドで配信しています

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン