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サッカーアジア杯、初戦のヨルダン戦が50%の重み持つ

サッカージャーナリスト 大住良之

アジアの王者を決めるAFCアジアカップ2011が7日、開幕した。アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表は4日、決戦の地であるカタールに入り、9日にヨルダンとの初戦を迎える。会場はドーハ市内のカタールSCグラウンド。キックオフの午後4時15分は、6時間の時差がある日本では午後10時15分となる。

■センターバックが次々と脱落

ザッケローニ監督にとって頭が痛いのはセンターバックのポジションだ。故障の田中マルクス闘莉王(名古屋)を予備登録にも入れることができず、中沢佑二(横浜M)も故障で最終メンバーに入れることができなかった。

さらに昨年9月と10月の試合で活躍した栗原勇蔵(横浜M)も負傷で選出できなかった。昨年のワールドカップ南アフリカ大会代表だった岩政大樹(鹿島)は23人のメンバーに選ばれ、カタールに向かったものの、故障から完全に回復しておらず、予備登録の永田充(浦和)と登録変更になるかもしれない。

センターバックの軸になるのは10月の2試合で見事なプレーを見せた今野泰幸(FC東京)としても、そのパートナーは誰になるのか。

堅実さを誇る伊野波雅彦(鹿島)、攻撃力に定評のある槙野智章(ケルン)、そして189センチの長身の吉田麻也(フェンロ)らから誰が選ばれても今野とコンビを組んだ経験はなく、不安は残る。

■国内組のコンディション不安も

日本代表が1月上旬に海外での大会に出場するのは1995年のインターコンチネンタルカップ(現在のFIFAコンフェデレーションズカップ、この年はサウジアラビアのリヤドで開催)以来16年ぶりのこと。

日本の選手たちは、前年の2月から続いてきた長いシーズンが終わったばかりで、コンディションとしては1年でいちばん難しい時期にある。

そのうえ、年末から元日にかけて天皇杯の準々決勝以降のラウンドがあったため、登録の23人中、実に8人が暮れの27日から31日まで行われた合宿に参加できなかった。

MF本田圭佑(CSKAモスクワ)やFW香川真司(ドルトムント)といったヨーロッパでも注目されるアタック陣の好調さで優勝候補の一角に挙げられている日本だが、センターバックとコンディション面の不安はどう影響するだろうか。

■ヨルダンとの初戦は「50%」の重み

B組に入った日本が、グループリーグで最も重要なのは9日のヨルダンとの初戦だ。

4チームのグループで行われる1次リーグの上位2チームが決勝トーナメントに進出する今大会のような形式では、初戦が「リーグ全体の50%」の重みをもつと言われる。

2勝、すなわち勝ち点6を挙げれば2位以内はまず間違いない。1勝(勝ち点3)は、その半分に当たるのだ。心理的にも、初戦で勝ったチームは余裕を持って第2戦に臨める。

ヨルダン戦に続き、日本は13日にシリア、17日にサウジアラビアと対戦する。このうち最強と見られるのは前回準優勝のサウジアラビア。ヨルダンとシリアを相手に2勝を挙げてしまえば、第3戦は選手の疲労具合を見ながら「ターンオーバー(入れ替え)」も可能だ。

■2004年、重慶でPK戦の死闘

さてそのヨルダン。アジアカップ決勝大会出場は2004年中国大会に続いてわずか2回目。とはいえ、その最初の出場時には、韓国、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)と組んだグループを1勝2分けの無敗(韓国との初戦は0-0の引き分け)で突破して準々決勝に進み、ジーコ監督率いる日本と対戦した。

猛暑の重慶で行われた準々決勝、ヨルダンは前半11分にエースのFWシェルバイがヘディングシュートを決め、日本を驚かせた。日本はその3分後に絶好調のMF中村俊輔(当時レッジーナ)のFKからFW鈴木隆行(当時鹿島)が同点ゴールを決めたが、それで主導権を握ったわけではなく、一進一退のまま120分を戦いきり、PK戦となった。

一番手だった中村と二番手の三都主アレサンドロ(当時浦和)が立ち足を滑らせて大きくけり上げて失敗、その直後にキャプテンのDF宮本恒靖(当時G大阪)がマレーシアのサレー主審に懇願して使用するゴールを反対側に移し、以後はGK川口能活(当時ノアシェラン)の奇跡のセーブにより逆転勝ちでかろうじて準決勝進出を果たした。

■強豪イランと1勝1敗

さて今大会の予選、ヨルダンは第1戦ホームでタイと0-0で引き分け、第2戦はシンガポールにアウェーで1-2の敗戦、第3戦はイランにアウェーで0-1の敗戦。6試合中3試合が終わったところで勝ち点わずか1、得点も1点で4チーム中最下位に沈み、絶体絶命の状況だった。

だが第4戦、ホームのアンマンに強豪イランを迎えた試合で、後半33分にベテランMFアメル・ディープが決勝ゴールを記録して1-0の勝利を収め、息を吹き返した。そしてタイとのアウェー戦0-0の引き分けをはさみ、最終戦にはシンガポールを2-1で下して2位に滑り込んだ。

イランとアウェーで0-1、ホームで1-0という互角の戦いを見せているだけに、甘く見ることはできない。

■イラク人監督アドナン・ハマド

今大会のヨルダン代表23人には、6年半前の2004年大会に出場した選手が4人含まれている。GKのアメル・シャフィ、DFのバシャル・ヤシーン、MFのアメル・ディープ、そしてMFのハサン・アブデルハターだ。このうちアブデルハターを除く3人は準々決勝の日本戦に出場している(MFアメル・ディープは交代出場)。

こうしたベテランと、07年のFIFA・U-20ワールドカップ(カナダ)に出場した若い選手たちが今回のチームの中心だ。「U-20組」では、ベルギーのクラブでプレーしたことがあるFWアブドゥラ・ディープに期待がかかっている。

アドナン・ハマド監督(49)は04年のアテネ五輪でイラクをベスト4に導き、その年の「AFC最優秀監督」に選ばれた人。09年4月に「アル・ナシマ(勇者たち)」と呼ばれるヨルダン代表監督に就任、予選勝ち抜きの立役者となった。

「グループのなかでも日本は最も国際経験が豊富で強敵といえる。しかし、なんとかいい結果を出してグループを突破したい」と意欲的だ。

■十分な覚悟をもって全力で

センターバック陣のほか、昨年10月の韓国戦で右腕を骨折したDF駒野友一(磐田)のほか、FWの軸になると見られていたFW森本貴幸(カターニア)が12月下旬に左膝半月板の手術をして欠場となった。しかし、それでも日本は今大会にこれまでにない強力な布陣を送り込むことができた。

センターバックの1人を除くと、布陣は以下のような形が予想される。

GK川島永嗣(リールセ)、DFは右から内田篤人(シャルケ)、今野、長友佑都(チェゼーナ)、MFは遠藤保仁(G大阪)と長谷部誠(ウォルフスブルク)をボランチに置き、右に松井大輔(トム)、左に香川、トップ下に本田圭、そしてワントップは前田遼一(磐田)。

高さはないものの、強い足腰を武器にフィジカルな戦いを仕掛けてくるヨルダンは、けっして簡単な相手ではない。日本代表としては、十分な覚悟をもって全力でぶつかり、4回目の優勝に向け好発進したいところだ。

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