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盛り上がる「有事の金」相場

松沢巌シニア・エディターに聞く

小谷:ニューヨークの金先物が6日、7カ月ぶりの高値をつけました。米大統選の直前、2016年11月上旬以来となる節目の1300ドルに迫っています。背景に何があるのでしょうか。日本経済新聞商品部の松沢巌シニア・エディターに聞きます。なぜいま金価格が上昇しているのでしょうか。
小谷真生子・メインキャスター
松沢巌シニア・エディター(6月7日放送)

情勢不安 ドル低下で金上昇

「一言でいうと、政治リスクと地政学リスクが重なってしまったからです。『ロシアゲート』疑惑に絡むトランプ政権の経済政策や外交への不安や、先が読めないリスク、さらにはイスラム過激派組織のテロ、北朝鮮・中東情勢などの地政学リスクと政治リスクの高まりが背景にあります」

小谷:なぜ地政学的・政治的リスクが高まると金が買われるのでしょうか?

「金は実物資産なので、株式のように企業の破綻など景気の極端な悪化で価値が消えてしまうということはありません。そこで、欧米のヘッジファンドやプロの投資家たちは、ドルへの信頼が落ち、ドルが安くなった際には金を買います。景気後退や国際情勢の不安により基軸通貨であるドルの価値が下がれば下がるほど、逆張りとして金が買われます。こうした性質から『有事の金』あるいは『無国籍通貨』とも呼ばれています」

小谷:具体的な例で見ていきましょう。

「フランスの大統領選で極右政党のルペン氏が世論調査で首位になった際は、ルペン氏が欧州連合(EU)離脱を掲げていましたので、欧州不安から金が大きく上がりました。マクロン氏が勝ち、それが一旦収束して下がったかのように見えましたが、5月9日に米国で連邦捜査局(FBI)長官だったコミー氏が解任され、『ロシアゲート』疑惑が深まったことで上がってきています。トランプ・リスクが再燃しているということです」

小谷:金の動きは為替と逆の動きを取るのでしょうか?

米国好景気が金の「天敵」に?

「金は基軸通貨のドルと逆の値動きをします。金の最大の天敵は利上げです。米連邦準備理事会(FRB)の利上げが進めばドルが高値に誘導されますので、逆張りで金は下がる・売られるということになります。今のところ、市場の多数派は6月と9月に利上げがあると予想していますが、足元の米国の経済指標が低調なこともあり、利上げは6月だけで9月は見送られるのではないかとの予想が一部で出てきました」

小谷:つまり、米国が利上げするごとに金の価格は下がる、9月も利上げがあるとさらに金の価格は下がる。もし利上げが見送られれば、金の価格が上がるだろうということですね。実際にこの先も金の価格上昇は見込めるのでしょうか。

「そうですね。トランプ・リスクがある限り、かなり売りにくい状況が続くと思います」

小谷:では、個人投資家が分散投資先として金を選ぶ場合、どういった投資法がありますか?

広がる投資の選択肢 注目は金ETF

「最もポピュラーなのは延べ棒と呼ばれる金地金の購入ですが、1キロの延べ棒を購入しようとすると400万~500万円かかってしまいます。最近人気があるのが、少量の金を購入でき、しかも有価証券で株式と全く同じように買える金ETFです。裏付けとして投資家の購入額に応じて金地金を購入・保管する仕組みですが、金現物の裏付けがないものもあります」

「NY証券取引所で2003年に登場して急拡大し、日本でも10年ぐらいに登場。現在、東証と大証に計5本の金ETFが上場されています。最低購入価格は高いもので1万円程度、安ければ4000円ぐらいから買えます。非常に少額から小口で買えるという点で、身近な金投資だと思います。先物取引と違って長期投資ができますので、株式と分散投資すれば、株が下がった時でも金は上がるというポートフォリオが組めるのでメリットがあります」

番組は日経電子版、テレビ東京ビジネスオンデマンドで配信しています

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