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安藤美姫「スケートができれば、どんな場所でも」

 このオフシーズン、安藤美姫選手(トヨタ自動車)は多くのアイスショーに出演した。日本だけではなく、「スターズ・オン・アイス」の一員として米国を巡業。そうしてからロシア、ラトビアで今シーズンに向けての練習に入った。米国、旧共産圏、それぞれの国でフィギュアスケートに取り組む環境などに違いがあるようです。

一座みたいな雰囲気に

――日本のアイスショーはどこも大盛況だが、今でも一番人気のミシェル・クワン(米国)が引退してしまってから、米国ではショーの人気が下火になってきているという。

「日本と比べて、(プロバスケットボールのNBAの本拠地など)会場が大きいのも一因でしょうが、半分以上空席のときもあります。でも、観客のノリがいいし、声援の大きさは日本と同じです」

「フィギュアの歴史も長いので、観客もスケートをよく知っています。あまり有名ではない選手でも、そのときにいい演技をすれば、ものすごい拍手をしてくれます。出演者のみんなも開催地から開催地へバスで移動するなどして一緒に過ごすうちに、一座みたいな雰囲気になって、本当に楽しい経験をさせていただきました」

本場のミュージカルで、表現の仕方を学ぶ

――オフの過ごし方は?

「米国では練習がある日は、リンクと借りているアパートメントの往復だけでした。食事はほとんど自炊をしています。日本の食材も手に入るので、日本食も作っています」

「休日があると、米国にいるときはニューヨークが近かったので、ブロードウエーのミュージカルを見に行ったり、買い物に行ったりしていました。ミュージカルを見るときは、ニコライ・モロゾフコーチや練習仲間も一緒に行ってくれることもありました。身体の使い方や表現の仕方が参考になります」

「ロシアでも普通にショッピングモールやカフェに出かけています。主な移動手段はタクシーですね。ロシアのタクシーはメーターがありません。目的地のアドレスを見せて、『この料金でお願い』って運転手と交渉します。ロシアは基本的に物価が高いのですが、タクシー料金はそれほどでもないので助かります」

米国では個人レッスンが主流

――米国と日本では子どもたちのレッスンに大きな違いがある。

「私が小学生のころなど、1日に8~10時間くらい滑っている日もありました」

「学校が午後2時に終わると、そのままリンクへ直行。2時半から8時までは一般営業で滑って、その後さらに1~3時間リンクを貸し切りにしてまた滑る、といった感じです。最低6時間以上は毎日リンクにいましたね」

「一方、米国の子どもたちはせいぜい3時間くらいしかリンクにいません。米国で9~10歳くらいの子を見て、『え、こんなんでいいの? 練習時間が短いんじゃない』って思っていました。米国では個人レッスンが主流だからなのかもしれません」

「日本ではグループレッスンが一般的だから、遊びながらみんなで練習という感覚もありました。でも、米国はマンツーマンなので、習い事に行くという感覚なんでしょう」

小さい子でもコーチに自分の意見

「しかも、小さい子でもコーチに自分の意見や考えを言うんですよ。日本では先生の言うことを聞くのが当たり前で、それに反抗するなんていうことは考えられないから、驚きました」

「私は将来、コーチをしたいと思っていますが、多分、教え子には『私が言っていることをやりなさい』ときっぱり言うと思います。さすがに米国でも、トップ選手を育てたコーチはそういう指導スタイルの人が多いですが……」

ロシアでは練習計画がきっちり

――ロシアはまだ旧ソ連、共産主義のスタイルを色濃く残しているという。

「1週間の滑るセッションが前もってきっちり決まっています。リンク以外での練習から氷上トレーニングまで、種目ごとに何をどれくらいやるか細かく定められています。ロシアでは小さい子にはグループレッスンがありますが、ナショナルチームに入ると、トップコーチが1対1で指導していました」

「ロシアの子どもたちは、みんなまじめですね。先生に呼ばれたら、『はい』ってすぐ来るし、コーチに言われたことをすべて受け入れる。選手を目指している子には、コーチも徹底的に教え込んでいる気がします」

「ロシア人のコーチは米国にもたくさんいます。2014年のソチ五輪に向けて、ロシアに呼び戻そうという動きもあるようですが、米国を気に入っている人も多いようですね。北米の方が物価は安いし、渋滞も少ない。住みやすいんだそうです」

生活には問題なし

――安藤選手はロシアの生活もさほど苦にならないという。

「スケートができれば、どんな場所でも関係ないと思っています。モスクワはクレムリン宮殿を中心に街が輪のように広がっています。街のいろんなところにリンクがあって、モスクワの中心部に滞在していた私は、どこに行くにもまずまず便利でした。今は3時間くらい滑る時間をもらって、ニコライ・モロゾフコーチについている6選手・ペアで時間を分け合っていました」

「日本と比べたら、街はきれいに見えないかもしれませんが、生活するにはまったく問題ありません。日本人からすれば、米国だって必ずしもきれいで便利な街ばかりとは言えません。モスクワだって水も出るし、生活に不自由はないです」

ハードな移動でも大丈夫

「ただ、渋滞は本当にひどいです。地下鉄も駅名は読めても、路線がとても複雑なので地元の人と一緒でないと乗るのは大変。その点、今いるラトビアの街は首都のリガから100キロも離れたところだけれど、楽です。英語も通じるし」

「あちこちに移動して疲れないかと思われるかもしれませんが、もう慣れました。どんなメチャクチャなハードな移動でも、ほとんど体調を崩さなくなりました」

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