名古屋コーチンの卵かけごはん 朝食にもこだわりの味

比内地鶏、さつま地鶏と並んで日本3大地鶏に数えられる「名古屋コーチン」。その肉は弾力とコクがあり、昔ながらのかしわ肉を思わせる味わいでファンが多い。
焼き鳥にしても鍋にしてもおいしいが、おいしいのは肉だけではない。卵のおいしさもまた格別だ。

名古屋コーチンは明治維新で禄を失った旧尾張藩士が、尾張地方で飼われていた地鶏と中国から輸入したバフコーチンを交配させて誕生させたもの。まだ養鶏技術も確立されていなかった時代に、気の遠くなるような努力でうみだしたと伝わる。
名古屋コーチンの卵にはいくつかの特徴がある。

まずは殻。我々がスーパーなどでよく目にする卵には殻が白い白色卵や、赤茶色の褐色卵がある。しかし名古屋コーチンの卵の殻はキレイな桜色だ。さらに殻の表面にポツポツと白い斑点があるものもあり、これが「桜吹雪」と呼ばれる。桜色をした桜吹雪模様の卵なら、花見シーズンの春にうってつけだ。
大きさが一般の卵より小さいので、卵全体にしめる卵黄の割合が多い。黄身は白身よりも味が濃いため、黄身の割合の多いコーチン卵は当然濃厚な味わいとなる。

黄身そのものの色も濃くオレンジがかっていて、割ったときの盛り上がりも良い。ぷっくりと色あざやかな黄身は見た目もとってもおいしそう。ねばりも強く、たまごかけごはんにした時の幸福感といったら! 黄身をくずしてよくかきまぜたら、とろーりとまろやかだ。

ゆで卵にしても違いがよくわかる。半分に割ると黄身の部分が大きく、プリッとかみごたえもあり、味も別格。ひと味違うゆで卵を体験できること間違いなしだ。
火が少し入ったときの半熟のおいしさを味わうなら、親子丼がおすすめ。弾力のあるコーチンの鶏肉と、濃厚な卵の味わいと。親子丼にすれば一皿で味わいつくすことができる。

朝ごはんの定番・卵かけごはんも、スペシャルな卵を使えば一気にごちそうになる。新年度に向けてのパワーチャージに、名古屋コーチンの卵かけごはんを試してみては?
(日本の旅ライター 吉野りり花)
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