クラブ再生、万策尽くす オランダ・サッカー事情(下)

2010/5/7 11:02
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主力が軒並み国外でプレーするオランダでは、そんな選手が一堂に会する代表人気は高い。イングランドなどのビッグクラブに人材を供給する側となった今、クラブレベルではオランダが欧州で覇を唱えることはかなり難しくなったことの、それは反動でもある。

入れ替え制、アマ参入促す

快速ウイングのロッベンも欧州のビッグクラブを渡り歩く(3月3日の米国戦)=共同

快速ウイングのロッベンも欧州のビッグクラブを渡り歩く(3月3日の米国戦)=共同

110年以上の歴史を持つオランダのサッカーリーグが、来季から初めての試みにトライする。プロリーグの2部とアマチュアリーグの間で入れ替え制を導入するのだ。背景には苦しい経営環境がある。

オランダリーグは1部18、2部20の計38クラブで構成されてきた。テレビ放映権料はリーグが集約販売したものを各クラブに分配する方式を採用。財政規模は1部で6000万ユーロから700万ユーロ、2部はつつましく400万ユーロから150万ユーロの間で経営されている。

1部リーグ、スパルタのゼネラルマネジャー(GM)、ペーター・ボントハウス氏は「オランダリーグはかつてない危機に直面している。2008~09年シーズンは、リーグ全体で3100万ユーロ(約40億円)の赤字だった」と話す。

放映権料は下降の一途

イングランドやスペインでは打ちでの小づちの放映権料が、オランダでは人気選手の流出で下降の一途をたどる。3年前は約91億円だったものが昨年は約78億円、今年は50億円程度になるという。うち6億5千万円は2部へ分配、残額を18チームで分けてもすずめの涙でしかない。一方で複数年契約で守られた選手年俸は高止まりしたまま。今年1月、2部のハーレムは200万ユーロの負債を抱え倒産した。

経営危機を乗り切るためオランダサッカー協会は人件費が予算の60%を超えないように指導し、2部では勝利給を廃止することも検討中。史上初の入れ替え制は新規参入を促し市場を活性化する願いが込められている。

実はスパルタも6年前に900万ユーロの累積赤字を抱えて破産しかけた。オランダで最古の歴史(1888年創設)を誇るクラブはこのピンチを、城跡を取り込んだ由緒あるスタジアムをバラ売りして切り抜けた。

行政と市民が一体となって再生

ピッチと観客席と場内1階の事務所は市が、他のフロアは不動産会社が、城郭部分はクラブのファンである富豪が買い取った。しめて600万ユーロ。城郭部分は試合が観戦できるレストランに改修され、売り上げの10%をクラブに寄付する厚意まで見せてくれた。

残りの300万ユーロは選手の移籍金や募金などで調達した。市は年間60万ユーロの賃料でスタジアムを使用させる。そうやって行政と市民一体となってクラブを再生させた。

ボントハウスGMによれば、そんなスパルタでも年間予算1100万ユーロのうち100万ユーロを育成に投資することを怠らない。大国のスーパーパワーにもまれながら生き残り戦略を図る。日本サッカーと置かれた立場は似ているだけに学ぶべき点も多い。

(武智幸徳)

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