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長嶋茂雄 「ひらめき」の裏にあった前夜の素振り
スポーツライター 浜田昭八

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2010/4/18 7:00
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 「記録」にも「記憶」にも残る名選手がファンの心をとらえた。日本プロ野球史に名を連ねた猛者の球譜をたどる。

本塁打を打つことでは王貞治、野村克也にかなわない。安打は張本勲、三塁守備は三宅秀史が優れている。それでも、長嶋茂雄は七十余年に及ぶ日本プロ野球史上、紛れもなく人気ナンバーワン選手だったといえよう。

語り継がれる「伝説」

なぜか。長嶋こそ「記録」を超越して「記憶」に残る"真のプロ"だったからだ。1950年代から70年代にかけて、輝く長嶋と青春を共有した人々がその姿を語り継いだ。テレビ隆盛とも歩調を合わせて長嶋伝説は増幅され、生のプレーを知らない世代にも注目される存在になっている。

"見出し男"の異名をとるほど、ここ一番で強かった。59年6月25日の阪神戦での天覧サヨナラホーマー(後楽園、村山実から)や、日本シリーズで4度もMVPに選出されたことなどが、「見せるプロ」を象徴していた。

デビュー戦の4三振も見せ場に

デビュー戦にさかのぼって、国鉄のエース、金田正一に喫した4三振も見せ場に転化した。スゴスゴと三振するのではなく、勇ましく空振りを繰り返した。新人を手もなくひねったはずの金田は「ブンブンと振ってくる、すごいヤツが出てきた」と漏らしたほどだった。

スターの地位を確保してから、プレーの本質とかけ離れた、長嶋の言動がよく話題になった。擬音と英語の入り交じったいわゆる"長嶋語"。ヘルメットが脱げ落ちるほどの大げさな空振り。コメディアンが形態模写でよく演じる一塁送球での右手のヒラヒラ……。

旺盛なサービス精神

天才長嶋の"天然"の姿と見られたが、旺盛なサービス精神によるところも多い。身だしなみに無頓着、忘れ物をするという評判が定着すると、それらしいことをさりげなく見せたりした。

サービスはするが、練習と試合への集中度は並外れていた。「暑い日、連戦などで緩む選手が多いが、長嶋は1試合として気を抜かない」と言ったのは、敵将として長嶋に何度も痛い目に遭った名将三原脩だ。

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