2019年1月23日(水)

自動運転、実用化間近? 国際ルール整備へ

2016/7/26 18:00
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日産自動車は8月下旬に発売するミニバン「セレナ」に高速道路の単一車線で、一定の条件下で自動走行できる機能を搭載する。国内メーカーで自動運転機能を盛り込んだ市販車を売り出すのは初めてという。しかし、現行の法制度は運転者による車両操縦を義務付けており、実際には単なる運転補助機能にとどまる。

■技術レベルで4段階

(自動運転車は)カメラやレーダーを使って周囲の状況をコンピューターが認識し、ハンドルやブレーキ、アクセルを自動制御して走る車。大手自動車メーカーが2010年ごろから本格的に開発を始め、米グーグルなどのIT(情報技術)企業も関連技術の開発に乗り出している。

技術のレベルに応じて4段階に分かれ、第1段階はアクセルやブレーキ、ハンドル操作のいずれかをシステムが行う。第2段階は複数の操作を同時にシステムが行う状態を指す。自動で車線を変更して追い越したり、合流したりする。第3段階と第4段階はすべての操作をシステムが行う。米国で死亡事故を起こした米テスラモーターズの「自動運転モード」は第2段階にあたる。運転に責任を持つのは人で、システムはあくまで運転を支援する技術との位置づけだ。

自動運転車 米グーグルなども参入(7月10日)

日産自動車は13日、新たに開発した自動運転技術「プロパイロット」を報道陣に公開した。

プロパイロットは前方車両の追従や車線維持など自動運転の「レベル2」に相当する技術を組み合わせた。フロントガラス上部の車載カメラで前を走るクルマと路上の白線を検知し、運転手が設定した時速30~100キロメートルの範囲で車間距離を保ちながら前方の車両を追従する。渋滞時を含めてハンドル、アクセル、ブレーキ操作をすべて自動でする技術は国内メーカーで初めてになる。

同等の機能は独メルセデス・ベンツや米テスラモーターズも実用化している。

日産、高速道で自動走行 「セレナ」搭載の新技術公開(7月13日)

停止してから3秒たつと自動運転モードが一時停止する。ハンドルのボタンを押すかアクセルを軽く踏むと再始動した。3秒未満の停止なら自動運転が続くため、断続的な渋滞によるノロノロ運転などは自動運転に任せることができる。

今回のレベル2の自動運転ではドライバーはハンドルに手を添えておく必要がある。ドライバーの手がハンドルから5秒ほど離れると「ポンポンポン」という警告音で注意を促し、約10秒後には自動運転モードが解除される。

先行車の動きと白線の向きを組み合わせて前方の状況を解析するため、前方にクルマが無い状態でカーブにさしかかった場合や、大雨や積雪、強い逆光などでカメラが白線を検知できない場合はドライバーに通知して手動運転に切り替わる。

記者が乗ってみた 運転切り替え、注意必要(7月14日)

2020年に市販化が期待されるのは、国内で「レベル3」と定義される自動運転車だ。加減速や制御のすべてをクルマが行い、緊急時のブレーキ操作だけをドライバーが担うものだ。

自動運転車では、ドライバーの認知、判断、操作をサポートする要素技術が重要なカギを握るのだが、実は人間の目(認知)や手足(操作)を代替する技術の大半は、かなり熟成されている。「特に操作については、すでにクルマ側は人間の100倍の能力を発揮することが可能」(日産自動車ADAS&AD開発部の飯島徹也部長)というほどだ。

例えば、ここ数年で普及した「自動ブレーキ」は、高精細のカメラやミリ波レーダー、超音波センサーを駆使して前方衝突を防ぐ。他にも、走行車線からクルマが出ないようにハンドルを自動制御する「レーンキープ技術」や、後方カメラ、センサーを使って駐車スペースを把握し、ハンドル操作をせずに済む「自動駐車システム」など、AI(人工知能)による複雑な判断を必要としない限られたシーンでは、すでに自動運転の要素技術が生きている。

これらを組み合わせて、簡易な自動運転機能を市販車でいち早く搭載したのが、テスラモーターズジャパンだ。同社の電気自動車「モデルS」は、ソフトウエアを2016年1月にアップデート。前方のミリ波レーダーや単眼カメラ、車体の周囲360度を感知する12個の超音波センサーを使って、「オートパイロット」「オートレーンチェンジ」「オートパーク」の3つが機能する。

ただ、(オートパイロットでは)安全確認までは自動化されていない。例えば、試乗時に前のクルマが赤信号に変わるタイミングで交差点に進入したのだが、モデルSは追従をやめず、一瞬ヒヤリとさせられた。また、白線がかすれている道路でオートパイロットは機能しないため、実際は高速道路が主な利用シーンになる。

オートレーンチェンジは、オートパイロット利用時にウインカーを出すと、クルマが自動でハンドルを動かして隣の車線に移動する機能。ウインカー操作からほとんど迷いなく車線変更できるが、モデルSの超音波センサーで検知できるのは約5mの範囲。後方からクルマが迫っていないか、人間がミラーで十分確認する必要はある。

「渋滞苦」から解放 自動運転、簡易版でまずお試し(4月11日)

モデルS(2015年1月以降の納車分)は、前方のカメラやレーダー、12個の超音波センサーを搭載。ソフトウエアの更新で、簡易的な自動運転機能を追加できる

モデルS(2015年1月以降の納車分)は、前方のカメラやレーダー、12個の超音波センサーを搭載。ソフトウエアの更新で、簡易的な自動運転機能を追加できる

■自動運転の国際ルール

国際的な交通規則を定めた「ジュネーブ条約」や世界各国のジュネーブ条約に基づく道路交通法は車両に運転を制御する人が乗っていることを前提としている。このため事故が起きた場合の責任は一義的にはドライバーにある。

日産、高速道で自動走行 「セレナ」搭載の新技術公開(7月13日)

「世界のほとんどの国がウィーン条約(1968年制定)またはジュネーブ条約(1949年制定)という道路交通の国際条約に基づいて車を走らせています。そこに車両には必ず運転者がいなければならないと記載があるのです。これに従う限り、人間の運転者がその責任の範囲内で車を動かさないといけません。日本ではジュネーブ条約を採択しており、日本の道路交通法にも運転者が車両を操縦しなければならないと書かれています」

「このため、無人運転車を走らせるにはこれらの国際条約の改正が必要になります。日本では警察庁が担当しており、現在の条約では国内でも無人運転は無理だとの解釈です。その条約を変えるための国際的な議論が始まっており、警察庁も参加しています。ただ、事故が起きた際の民事責任や刑事責任をどうするかなど、難しい問題があります。改正のメドは立っておらず、時間がかかりそうだと聞いています」

「条約改正のほかにも方法がないわけではありません。運転者が遠隔で操作するリモコン車です。条約や法律には、運転者がどこにいなければいけないというのは書いていません。車に乗っていなくても、遠隔で操作すればいいじゃないかという考え方です。日本では最終的には警察庁の判断になりますが、そういった議論も出ています」

「私が議長を務める国連の専門家会議で『毎時10キロメートル超の自動操舵(そうだ)を2017年にも可能にする』ための議論をしています。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)という技術がありますが、それらの機能は前の車がブレーキを踏んだら、それに合わせてブレーキを踏むというものです。今議論しているのは、前に遅い車がいたら自動で車線変更をして追い越す技術についてのルールです。同様の技術は、すでに昨年10月にトヨタ自動車がデモをしています」

「国によって車両の安全基準が異なり、ドイツやフランスでは毎時10キロメートル超の自動操舵が付いた車は売れません。国連基準が改正されれば、そうした車も世界中で販売できます。新基準にはブレーキをどう制御しなければいけないといった技術上の決まりが書かれており、例えば居眠りをしてしまったときには路肩にとめるといった要件を規定しています」

来年にも追い越しOK 変わる自動運転の国際ルール(4月13日)

自動車メーカーが開発を競う自動運転車の無人走行の実現に向け、警察庁は6月27日、法的課題を話し合う有識者らによる検討委員会の初会合を開いた。無人での実験を行うのに適切な場所や高速道路の規制速度などについて議論し、今年度中に指針案を取りまとめる。

日本は今年3月、自動運転車の実現に向けて、道路交通条約の改正などを協議する国連欧州経済委員会(UNECE)の作業部会に初めて正式参加。条約はドライバーの乗車を前提としているが、部会は遠隔で制御する人がいれば、ドライバーが乗車しなくても自動運転の実験ができるとの見解を示した。

警察庁、無人運転実験で16年度内に指針案 検討委(6月27日)

日本とドイツ、フランスなどの欧州主要国は自動運転の共通基準をつくる。まず2018年にも高速道路で人がハンドル操作せずに追い越しや合流ができる車を走れるようにするためのルールを設ける。参加国はこれを国内の基準に採用する。自動運転車で先行する米国は独自にルールをつくる方針だが、日欧が連携し共通基準の採用を働きかける。

現在、国連の専門家会議で自動追い越し・合流ができる車の共通基準づくりを進めている。この会議には日本、韓国、ドイツ、フランス、英国、欧州連合(EU)の欧州委員会などが参加しており、今秋にも大筋合意する見通し。参加国はこれを国内の基準に採用する。日本では国土交通省が道路運送車両法の告示として基準を示し、適合していない車は公道を走れないことになる。

共通基準には自動追い越しできるのは高速道路に限り、事故が起こった場合はドライバーに責任があるなどの原則を盛り込む。さらに(1)機械より人間の運転操作を優先する(2)ドライバーの居眠りやよそ見を防ぐ装置を搭載する(3)ドライバーが警告に反応しない場合は自動で路肩に停止する――といった安全に配慮した規定も導入する。

自動運転、日欧で基準 18年にも追い越し・合流で(7月10日)

■カギ握るGPSと立体地図

政府は自動運転技術の開発加速に向け、2018年度にも日本と欧州の衛星測位システムを相互乗り入れする。日本版全地球測位システム(GPS)「準天頂衛星」と欧州連合(EU)の「ガリレオ」が発する情報信号の言語を共通化する。日本市場向けに開発した自動運転車や関連部品が世界中で使えるようになる。開発や生産のコストを減らし、日本企業の世界展開を後押しする。

EUが運用するガリレオは30基体制で地球上を周回し、世界全体をカバーしている。現時点では誤差が1メートル単位と準天頂衛星に比べて精度が低く、山間部や高層ビルが多い地域では使いにくいなど課題はある。だが、将来的に日本企業が衛星方式で欧州やアフリカなどの世界に展開するにはガリレオが共通技術で使える利点は大きい。

政府は20年の東京五輪・パラリンピックに向けて自動運転車や農機の実用化を成長戦略の柱に位置づけている。自動運転システムは30年には関連産業が年7兆円規模に膨らむとの試算がある。米グーグルなどは、車載センサーを主軸とする仕組みをとっており、衛星方式の「日欧連合」でいち早い市場開拓をめざす。

GPS衛星で日欧相乗り 自動運転の世界展開後押し(7月24日)

米テスラモーターズの5月の死亡事故で、自動運転の安全性に改めて注目が集まっている。交通事故を防ぐ上で人工知能(AI)と並び、大きなカギを握るのが、次世代の高精度な3D地図だ。道路だけでなく建物や標識なども含めて正確に立体データ化したもので、この地図があるとないとでは、人の運転に例えると、よく知っている道と初めて走る道ほどの違いがあるという。

3D地図は標識や信号機の位置など道路周辺の3次元の位置情報を全て正確に盛り込んである。今回の事故でいえば、交差点に道路案内板がないことが事前に分かるので、センサーが見間違う可能性が大きく減る仕組みだ。

地図の精度も従来とは大きく異なる。現在の一般的なカーナビ地図は2500分の1の縮尺で表すことを想定したもので、実際の道路と照らし合わせると「1メートル75センチの誤差がある」(デジタル地図大手のインクリメントP)。既存のカーナビにも3D表示できる機種があるが、誤差は同じ程度だ。一方、高精度3D地図の誤差は数センチに収まる。ガードレールや歩道の縁石などの位置も正確に分かり、狭い道路での車のすれ違いなどにも対応できる。

自動運転事故ゼロの切り札 3D地図競争、日本の勝算(7月22日)

レーザーセンサーで道路周辺の物体を検知して作成したデータ。これを加工して自動運転用の3D地図にする。それぞれの点に色を付けているため、写真のようにも見える。画像提供はアイサンテクノロジー

レーザーセンサーで道路周辺の物体を検知して作成したデータ。これを加工して自動運転用の3D地図にする。それぞれの点に色を付けているため、写真のようにも見える。画像提供はアイサンテクノロジー

■私道・地方・商用車から実用化

ディー・エヌ・エー(DeNA)は7日、自動運転の無人バスの運行サービスを8月から始めると発表した。まずは商業施設や工場、大学構内など私道を走るバスから着手する。将来は公道での利用も見据え、NTTドコモと提携する。

「ロボットシャトル」と名付けたバスは仏ベンチャー、イージーマイルが開発した。3人ずつ対面で座る小型の電気自動車バスで最大時速は40キロ。第1弾としてイオンモール幕張新都心(千葉市)でサービスを始める。

将来は公道走行も検討する。必要となるのがクルマ同士を結ぶ「車車間通信」や、クルマと交通インフラの間でデータをやり取りする「路車間通信」の技術だ。DeNAは同じバスを使い、ドコモと組んで福岡市で実証実験を始める。

DeNA、自動運転バスを8月から運行 まず商業施設など私道で(7月7日)

デモ走行する自動運転の無人バス「ロボットシャトル」(7日午後、東京都港区)

デモ走行する自動運転の無人バス「ロボットシャトル」(7日午後、東京都港区)

ヤマト運輸とディー・エヌ・エー(DeNA)は20日、宅配便の配達に自動運転技術を活用する実験を2017年に始めると発表した。自動運転を導入することで運転が苦手な女性や高齢者を配達員に雇用したり、夜や朝の宅配を増やしたりしやすくする。運転手の人手不足の解消を狙うとともに、消費者にとっても宅配便をより便利に使えるようにする。

両社が組んで自動運転機能を備えた専用車両を開発し、17年3月から1年間実験する。公道で自動走行できる国家戦略特区に指定された地域から実験場所を選ぶ。「ロボネコヤマト」の名称で自動運転車を使って宅配便の荷物を届ける。実験では安全確保のため人が乗り込み、配送ルートの一部で自動運転する。将来は完全無人化を目指す。

消費者がスマートフォン(スマホ)で時間と場所を指定すると、ヤマトの集配所から出発した自動運転車が指示に従って荷物を運ぶ。

ヤマトとDeNA、宅配便に自動運転技術 17年から実験(7月20日)

ソフトバンクが自動運転車を使うサービスの事業化に乗り出した。自動運転技術を開発する東京大学発のベンチャー企業である先進モビリティと合弁で、新会社「SBドライブ」を4月1日に設立。

自動運転技術を活用した特定地点間の移動サービスや公共バス事業、隊列および自律走行による物流などの実用化を目指す。

SBドライブは既に、福岡県北九州市や鳥取県八頭町との連携協定を締結済みだ。早ければ2016年内にも実証実験を開始する。

SBドライブは、地方での商用車利用に商機があると読む。人の移動に向けたサービスでは、路線バスや特定区間を行き来するシャトルバス、乗合タクシーなどを想定する。自動運転車を使えば人件費を抑えられ、地方の公共交通機関よりも収益性は高まると見込む。車両は、先進モビリティが既存のバスやトラックを改造する。

自動運転「地方に大きな商機」 後発ソフトバンクの作戦(7月20日)

経済産業省と国土交通省は2019年度に、貨物トラックに「隊列」を組ませて自動運転で高速道路を走らせる実験を始める。夜間の東京―大阪間の高速道路などが有力。高速道路の渋滞はブレーキを踏むタイミングのずれや緩い坂道での減速が原因となっており、隊列走行で渋滞緩和につなげる。自動運転の実用化を通じて運転手不足に対応する狙いもある。

経産省と国交省が実験する隊列走行では、運転手が操縦する先頭のトラックを、後続のトラックが自動運転で追随する。18年度までに産業技術総合研究所や日本自動車研究所のテストコースで安全性の確認を終え、19年度には公道で実験する。

先頭の車両だけ運転手が操縦し、後続車両はトラック間の通信によって、先頭車両の操舵(そうだ)やアクセル・ブレーキに動きを合わせて追随する。当初は後続車両には安全のため運転手を座らせるが、運転はしない。道路運送車両法や道路交通法上は、先頭トラックが後続トラックを電子的にけん引していることにする。

自動運転で貨物トラック「隊列走行」 19年度に実験へ(4月25日)

いすゞ自動車と日野自動車は商用車の自動運転技術を共同で開発する。複数台のトラックが連なって走る隊列走行に必要なシステムの実用化を目指す。トラック運転手の人手不足が慢性的に続き、将来的に不可欠な機能になると判断した。独ダイムラーなど同様の技術に取り組む海外勢に対抗し、国内2社で協力して先行したい考えだ。

共同開発するのは自動運転の実用化に必要な基礎技術となる「高度道路交通システム(ITS)」。トラックが隊列を組んで走る際、後方の車両が前方の車両についていくようにする。アクセルやブレーキの作動情報や車両の位置情報を共有する通信技術を開発する。

いすゞ・日野、トラック隊列の自動運転技術開発へ(5月27日)

経済産業省と国土交通省は2018年度に、地方で自動運転車を使った送迎サービスの実証事業を始める。運転できない高齢者が通院や買い物ができるように、高齢者の自宅と病院や商店街の間に自動運転車用の道路を整備する。公共交通網が十分でない地方での実用化の可能性を探る。

17年度に自動運転車用の道路を整備し、18年度のサービス開始を目指す。自動運転車が安全に走れるように柵などを設置する。自宅と目的地の間にある公道もルートに含めることも検討する。

自動運転車で送迎、地方で実証事業 高齢者の買い物・通院(7月25日)

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