2019年3月20日(水)

「ポケモンGO」米でヒット 任天堂、再浮上なるか

2016/7/13 18:00 (2016/7/15 16:00更新)
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任天堂などが共同開発したスマートフォン(スマホ)ゲーム「ポケモンGO」が米国で社会現象となるヒットとなっている。任天堂株は急騰し、12日に時価総額は3兆円に膨らんだ。近年、ゲーム機の販売不振などで業績の低迷が続いていた同社が久しぶりに脚光を浴びている。

■時価総額3兆円を回復

任天堂のスマートフォン(スマホ)ゲーム「ポケモンGO」の快進撃が止まらない。

米調査会社によると、6日に配信が始まった米国ではスマホゲームの利用者数ランキングで歴代首位に浮上。1日の利用時間は対話アプリ「ワッツアップ」や写真共有アプリ「インスタグラム」を抜いた。

このゲームを集客に使う便乗商法も登場するなど人気は「モンスター」級の広がりをみせている。

ゲームを手掛ける「ポケモン」(東京・港)は任天堂の持ち分法適用会社で、任天堂株が急騰。任天堂は12日、約8カ月ぶりに時価総額3兆円を回復した。

任天堂株が急騰、時価総額3兆円に(7月13日)

「ポケモンGO」のゲーム画面(ナイアンティック提供)

「ポケモンGO」のゲーム画面(ナイアンティック提供)

任天堂とゲーム企画会社のポケモン、米グーグルから独立したゲームベンチャーのナイアンティックの3社が共同で開発した。

米国とオーストラリア、ニュージーランドの3カ国のみで利用できるが、日本でも近く配信が始まる見通しだ。

ポケモンGOはスマホの全地球測位システム(GPS)を利用した位置情報ゲームだ。

屋外で特定の場所に行くとカメラを通じて画面上に合成されたポケモンが登場。捕まえたり、対戦したりして遊ぶ。日本でも近く配信が始まる見通しだ。

基本プレーは無料だが、ポケモンを捕まえるのに役立つアイテムなどがゲーム内で販売されている。利用したい場合はアイテム購入に必要な「ポケコイン」をお金を払って手に入れる。

任天堂株が急騰、時価総額3兆円に(7月13日)

急激な盛り上がりには戸惑いも広がっている。

ゲームに夢中になったプレーヤーが路上で転倒するなどしてケガをし、警察が注意を呼びかける事例も報告されている。

米国で「ポケモン狩り」に興じる多くの人が公園や施設などに殺到している。

特定の場所を訪れると画面上にポケモンが現れ、捕まえたり対戦したりできる仕組みだが、人気の過熱ぶりに「館内で遊ばないで」と自粛を求める博物館なども現れた。

「ポケモンGO」人気過熱 米、自粛求める博物館も(7月14日)

「ポケモン」は任天堂が議決権の32%を所有する持ち分法適用会社で、実際のゲーム運営は米グーグルから独立したベンチャー、ナイアンティックが手掛ける。

「ポケモンGO」の任天堂業績への貢献度が見えにくいとの声がある中、任天堂株は4営業日で6割上昇、12日の東京株式市場で売買代金トップに立った。

ポケモンGO人気を、今秋に自社で配信するスマホゲーム有力2作品につなげることができるかが焦点となる。

任天堂株が急騰、時価総額3兆円に(7月13日)

任天堂本社(京都市南区)

任天堂本社(京都市南区)

■前期は61%減益

任天堂では昨年7月、「ニンテンドーDS」「Wii」の売り出しで手腕を発揮した岩田聡社長(享年55)の急逝に揺れた。

「ゲーム人口の拡大」を掲げ、ゲーム機に新たな息吹を吹き込んだ任天堂の岩田聡社長が2015年7月11日、死去した。

人気ゲームの開発を主導して高齢者や女性のファン層を広げ、2009年3月期の連結売上高と純利益を過去最高に押し上げた。

スマートフォン(スマホ)ゲームに押されて12年3月期からは3期連続の営業赤字となり、業績回復を目指す矢先の急死だった。

任天堂の岩田社長、ゲーム機に新たな息吹 11日死去(2015年7月13日)

任天堂は2015年9月14日、7月11日に55歳の若さで死去した岩田聡前社長の後任として君島達己常務(65)が9月16日付で社長に昇格すると発表した。

君島氏は三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)出身で任天堂でも総務や経理の担当が長い。ゲーム開発を支えた専務2人とトロイカ体制を敷いてカリスマ亡き後の改革に取り組む。

任天堂、トロイカ体制へ 岩田路線を継承(2015年9月14日)

任天堂が4月27日発表した2016年3月期の連結決算は、純利益が前の期比61%減の165億円だった。大型タイトルの投入が少なかったため、携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売が不振だった。

売上高は8%減の5044億円だった。ニンテンドー3DSの販売台数は22%減の679万台、ソフトの販売本数は23%減の4852万本にとどまった。

据え置き型ゲーム機「Wii U」の販売台数は4%減の326万台だった。Wii Uの新規タイトル「スプラトゥーン」は400万本を越えるヒットになったが、本体の販売台数は減少した。

任天堂、純利益61%減 16年3月期 ゲーム機販売が不振(4月27日)

決算発表する任天堂の君島社長(4月27日、大阪取引所)

決算発表する任天堂の君島社長(4月27日、大阪取引所)

■新型ゲーム機を来春投入

新商品の開発に向けて、イチロー選手ら多くの日本人プレーヤーが在籍したシアトルマリナーズの持ち分売却を決めた。

任天堂は4月28日、米大リーグ球団シアトルマリナーズの運営会社の持ち分の大半を売却すると発表した。

元社長の故山内溥氏が1992年に個人として出資して以来、24年続いた筆頭オーナーの座を降りる。

同社の2016年3月末の手元流動性は9093億円と潤沢だが、巨額の売却益を得て社運をかける新型ゲーム機「NX」の開発に向け万全を期す構えだ。

2009年4月、米大リーグ・マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドで、日本選手最多の日米通算3086安打を達成したイチロー外野手(左から2人目)=シアトル(共同)

2009年4月、米大リーグ・マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドで、日本選手最多の日米通算3086安打を達成したイチロー外野手(左から2人目)=シアトル(共同)

2016年3月期の決算説明会で君島達己社長は、来年3月に新型ゲーム機「NX」を発売すると発表した。

ゲーム機事業は新型機発売当初はコストが先行し、赤字が大きく膨らむことも多い。

君島社長は据え置き型ゲーム機「Wii U」の生産を大幅に縮小するなど、NXに経営資源を集中する姿勢を鮮明にしている。

任天堂、新型機開発に集中 マリナーズ持ち分売却へ(4月28日)

任天堂の君島達己社長は6月29日に京都市での定時株主総会で人気ゲームソフト「ポケットモンスター」の新作投入などによる収益改善に自信を示した。

2017年3月に予定する新型ゲーム機「NX」の発売準備を着実に進めていることも強調した。

君島社長は人気キャラクター「マリオ」など任天堂の持つIP(知的財産)の活用を含めて積極的な事業展開を進めると指摘。17年3月に見込む連結営業利益450億円(前期比37%増)を達成したい考えを示した。

任天堂の君島社長、新作「ポケモン」投入効果に自信(6月29日)

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