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ACLの戦いから浮かぶ日本サッカー共通の「弱点」
サッカージャーナリスト 大住良之

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2010/3/27 7:00
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サッカーのアジア・クラブチャンピオンを決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ第3戦が3月23、24の両日に行われ、日本から出場している4クラブは明暗が分かれた。川崎、G大阪、鹿島の3クラブは勝利を収めたものの、広島は敗れて3戦全敗。この広島の戦い方などを通して、日本のサッカー全般にいえる弱点が浮かび上がったような気がする。その弱点とは――。

前節、ロスタイムで決勝ゴールを許す

ACL初出場の広島は2月24日にホームで初戦を迎えたが、山東(中国)に0-1で苦杯を喫した。続く3月10日は昨年のACLチャンピオンの浦項(韓国)とアウェーで対戦。後半9分に先制点を許したものの、その後猛攻をかけ、後半44分にDF槙野智章がファウルを受けて得たPKをDFストヤノフが落ち着いて決めて1-1の同点に追いついた。

このまま終われば、この組随一の強豪と見られる相手とアウェーで戦いながら勝ち点1を得られる。それは広島にとって十分価値のあるはずのものだった。しかし、はかない夢だった。ロスタイムに入って2分、ブラジル人FWアウミールにフリーでヘディングシュートを許し、決勝点を奪われてしまったのだ。

退場で、約60分間を10人で戦うことに

3月24日のアデレード(オーストラリア)とのアウェーゲームも、広島にとって非常に悔やまれるものとなった。

アデレードは2008年のACL準優勝チーム。今季のACLも好調で、初戦(ホーム)は1-0で浦項を下し、第2戦(アウェー)も山東に2-0で連勝。3連勝への期待からか、ホームのヒンドマーシュ・スタジアムは1万人を超えるファンで真っ赤に染まった。

その雰囲気に飲まれたのか、広島は立ち上がりから攻守ともに消極的で、前半11分に先制点を許した。そのうえ、前半32分には相手の攻撃を止めようとしたDFの要のストヤノフが「得点機会阻止」の判定でレッドカードを受け、残り約60分間を10人で戦わなければならなくなった。

与える必要のないFK

しかし、ここで負けたら3連敗となり、決勝トーナメント進出の2位以内が難しくなる広島は後半、見違えるように積極的になった。後半10分にMF森崎和幸がきれいなミドルシュートを決めて同点に追いつく。そして同30分にはMF森崎浩司のFKを交代出場のMF高柳一誠がヘディングで決めて、10人で戦いながら逆転したのだ。

残り15分、広島がどのように試合をコントロールし、ACL初勝利を勝ち取るか注目していた。ところが、わずか2分後にCKからオーストラリア代表の長身DFコーンスウェイトにフリーのヘディングシュートを許してあっさり追いつかれると、その5分後には交代出場のブラジル人MFカッシオにFKを決められて再び試合をひっくり返されてしまったのだ。

このFKは広島のスローインのミスから相手にボールを奪われ、そのまま攻め込まれそうになるところで起こったファウルによるもの。与える必要などまったくないものだった。

苦しい状況で、悪いできではなかった

広島はJ2から復帰した1年目の09年Jリーグで4位に躍進。06年6月にミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任して以来推し進めてきたチーム全体でパスをつなぐサッカーがようやく実を結んできた。しかし、攻撃の中心的存在だったMF柏木陽介が浦和に移籍、さらにはMF青山敏弘とMFミキッチという中心選手が昨年の手術の影響で戦列に戻れず、3月にはDF盛田剛平、MF高萩洋次郎が相次いで負傷。昨年のレベルに達しない戦力で今季のACLに臨まなければならなかった。

そうしたチーム事情を考えれば3連敗とはいえ、広島のできは決して悪くなかった。むしろよくやったと言っていいほどだ。懸命にパスをつなぎ、両ウイングバックの外側からDFがオーバーラップしていく攻撃は、中国、韓国、オーストラリアというアジアの強豪に対して十分に通じるものだった。

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