2019年8月18日(日)

合併・人事に異議 創業家、経営陣と対立

2016/6/30 18:00
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昨年7月に経営統合で合意していたが…。出光興産の月岡隆社長(右)と昭和シェル石油の亀岡剛社長

昨年7月に経営統合で合意していたが…。出光興産の月岡隆社長(右)と昭和シェル石油の亀岡剛社長

石油元売りの出光興産の創業家が、株主総会で来春の昭和シェル石油との合併に反対を表明した。他にも社長や取締役の人事などを巡り、創業家が反対する例が相次いでいる。大株主として強い発言力を持つだけに、経営陣は対応に苦慮する。企業統治のあり方が問われる。

■株3分の1以上保有を主張

石油元売り国内2位である出光興産の創業家は6月28日、同社が2017年4月に予定する同5位昭和シェル石油との合併に反対を表明した。

企業文化や事業戦略に大きな違いがあり、合併しても相乗効果が得られないとしている。

創業家は議決権ベースでの出光株保有について、株主総会で合併などの特別決議に拒否権を行使できる33.92%であると主張。この影響力が低下することへの懸念も背景にあるようだ。

創業家は両社の具体的な違いとして、出光には労働組合がないが昭シェルにはある、出光はイランと親密だが、昭シェルにはサウジアラビア国営のサウジアラムコが出資している、などを挙げている。

両社は15年7月、経営統合することで合意。統合形態は継続協議としたが、同11月に「合併」で合意したと発表していた。

出光、創業家が合併反対 昭和シェルと「社風違う」(6月29日)

「出光家にはきちんと理解してもらってほしい」。英蘭シェル幹部は出光に対し、昭シェルとの経営統合について創業家の同意を取り付けることを再三求めた。

出光側は「大丈夫だ。創業家からは経営を一任されているし、経営統合にご納得いただいている」との説明を繰り返した。

出光家、突然の反旗 合併で影響力の低下危惧か(6月29日)

人口減や省エネ推進を背景に国内石油市場が縮小するなか、元売り各社は有力な打開策として再編を加速させている。

出光と昭シェルの合併交渉が白紙になれば業界の再編全体への影響も懸念される。

出光、創業家が合併反対 昭和シェルと「社風違う」(6月29日)

増資により創業家の保有比率を希薄化する手段も考えられる。

だが出光は29日、増資に関する報道が一部で出ると「検討している事実はない」とすぐに否定した。創業家を刺激したくない思いが強い。

出光と創業家、溝深く 昭和シェルとの合併巡り(6月29日)

■人事案「納得のいく説明ない」

定食店を展開する大戸屋ホールディングスの大株主の創業家が5月20日、6月の株主総会で会社側が提案する取締役の人事案に反対すると表明した。

反対を表明したのは2015年7月に亡くなった元会長、三森久実氏の妻と長男の智仁氏(27)。筆頭株主だった久実氏から株式を相続し、合計で18%超を保有している。

大戸屋創業家、会社側人事案に反対(5月21日)

智仁氏は、日本経済新聞の取材に対して「これだけ大幅に取締役の構成をかえるのに納得のいく説明がない。見識のある社外取締役も全員かわるのは理解に苦しむ」と述べた。

大戸屋創業家、会社側の人事案に反対 「納得いく説明ない」(5月21日)

大戸屋ホールディングスは6月23日、東京都内で定時株主総会を開いた。総会では窪田健一社長ら3人を再任し、社外取締役3人を含む8人を新任する取締役選任議案が承認された。

取締役選任議案を巡っては筆頭株主の創業家が反対の意向を表明していたものの、総会では創業家から質問や動議の提出はなかった。

総会で質問に立った10人の株主からは「創業者が亡くなり、残りの役員は一致団結しなければならない。人事の大幅刷新はそぐわない」「これほど多くの役員が入れ替わるのは通常あり得ない」などの指摘が相次いだ。

大戸屋、株主総会で取締役人事会社案を承認(6月23日)

6月23日に開催された株主総会

6月23日に開催された株主総会

■トップ退任の陰に

セブン&アイ・ホールディングスでは5月の株主総会を前に、鈴木敏文会長(当時)が子会社であるセブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長(同)に退任を迫ったが、社外取締役らが反対。鈴木氏辞任の伏線となった。

辞任を決定づけたとされるのが、セブン&アイHDの源流企業でありイトーヨーカ堂の創業者で名誉会長の伊藤雅俊氏だった。

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(右)と鈴木敏文氏

セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(右)と鈴木敏文氏

セコムでも5月、創業者である最高顧問の飯田亮氏の「意向が働いた」(同社関係者)とされるトップ人事があった。前田修司会長(当時)と伊藤博社長(同)が同時に解職された。

創業家反対相次ぐ(6月29日)

■孫氏は社長退任を撤回

ソフトバンクグループの孫正義社長(58)は60歳前後としていた社長退任を撤回した。後継者に指名していたニケシュ・アローラ副社長は退任した。

ソフトバンクグループは6月21日、ニケシュ・アローラ副社長(48)が22日付で退任すると発表した。

アローラ氏は2014年に米グーグルからソフトバンクへ巨額の報酬を得て入社。海外の投資案件をけん引し、孫正義社長が後継者に指名していた。

ソフトバンクグループはアローラ氏が孫氏に代わって「数年のうちにグループのトップとしての指揮を執りたい意向だったが、両者の時間軸にずれが出た」と退任の理由を発表した。

決算発表を終えて、会場を後にするソフトバンクグループの孫正義社長(右)とニケシュ・アローラ副社長(5月10日、東京都中央区)

決算発表を終えて、会場を後にするソフトバンクグループの孫正義社長(右)とニケシュ・アローラ副社長(5月10日、東京都中央区)

アローラ氏の退任により、海外事業は孫氏が管轄し、22日付で宮内謙取締役(66)が代表権を持つ取締役副社長に昇格する見通し。

ソフトバンク、アローラ副社長が退任 孫氏が社長継続(6月21日)

「60歳で引退と決めていたが、いざその時期が近づくとやっぱりもうちょっとやっていきたいという欲望が出た。(引退してよいのかという)心の葛藤もあった。正直に話した方がよいと思った。それに、ニケシュほどの人材を待たせるわけにはいかない。彼には迷惑をかけ、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」

「これから5~10年は社長として頑張りたい。2~3年で降りるつもりはない」

ソフトバンク一問一答(6月22日)

ワンマン経営でソフトバンクを引っ張ってきた孫氏。突然の「後継」退任には企業統治のあり方を問う声も出ている。

孫氏は3月末時点でソフトバンクの発行済み株式の2割を持つ筆頭株主。だが言うまでもなくその他の多くの株主から経営を任された立場でもある。

22日に開く株主総会でもアローラ氏の取締役への選任などが議題に上がっていた。

「ワンマン」引き際 難しさ露呈(6月22日)

ソフトバンクグループは22日に東京都内で定時株主総会を開き、新役員人事を承認した。

人工知能(AI)の本格普及が迫り「情報革命のチャンスが広がり、もう少し続けたいと思うようになった」と引退撤回の理由を説明した。

孫氏、決められぬ引き際 カリスマ経営者に課題(6月23日)

■大塚家具創業者、春日部に大型店

大塚家具の創業者で前会長の大塚勝久氏が立ち上げた家具販売会社「匠大塚」(東京・中央)は6月29日、大塚家具がショールームを構える埼玉県春日部市に「春日部本店」をオープンした。

29日開業の匠大塚の春日部本店(28日午前、埼玉県春日部市)

29日開業の匠大塚の春日部本店(28日午前、埼玉県春日部市)

地上7階建てで、1~5階が家具フロア(延べ床面積約2万7千平方メートル)となり、家具や照明など約1万5千点を販売する。

大塚家具で最大の有明ショールーム(同2万4千平方メートル)に匹敵する国内最大規模の家具店だ。

大塚家具の大塚久美子社長=右=と父で創業者の勝久氏

大塚家具の大塚久美子社長=右=と父で創業者の勝久氏

大塚氏は長女の久美子氏と大塚家具の経営権を巡る委任状争奪戦で敗れ、同社株を売却、新会社を設立した。

「一緒に会社を後にした仲間たち5人と1年前に匠大塚を設立した。その後も大塚家具を去る社員が多く、優秀な人材が他社に流れても困る。何とかしようと小売りの店を探し始めた2月にこの場所と出合った。まさかこんなに早く開けると思わなかった」

「同じ取引先にはほとんど手を出していない。多くのメーカーが私の実績をみて匠大塚に懸けてくれた。しっかり準備して世間の皆さんに批判されないようにやってきたつもりだ」

「大塚家具より進歩」 父の新店、29日埼玉・春日部に(6月28日)

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