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韋駄天男、突然ゴール量産 FC東京・石川直宏(上)

2010/3/2 15:30
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「僕らしい。ケガで始まり、ケガで終わりましたから」。FC東京の石川直宏(28)は浮き沈みの激しかった昨季をそう振り返る。

昨季はケガに泣いたが、一時得点王争いの首位を走った

Jリーグ開幕時は故障明けで「ベンチにもいなかった」。戦列に戻ると壮快なシュートを次々に決め、2004年以来の日本代表復帰も果たした。一時は得点王争いで首位を走ったが、第29節の柏戦でゴールを決めた直後に左ひざに重傷を負った。「ショックでした」。結局7年ぶりの日本人得点王の称号は、前田(磐田)の手に渡った。

その左ひざを痛めたゴールを「好きなんです」と言ってしまうところが石川らしい。相手DF陣のギャップを突いて駆け抜け、羽生のパスを受けてGKの鼻先で勝負した。「あそこまでは完ぺきだった。日本代表でもあれを求められていると自分では思っているんですけど」。確かに今の代表ではあまりお目にかかれない直裁な走りだった。

「サイドアタック」が代名詞だった韋駄天(いだてん)男は昨季、にわかにリーグ戦で15ゴールを量産した。それまで9シーズンで通算24得点だった選手の劇的な変身。理由は何か。

変身の裏に「8割の感覚」

きっかけは主戦場をゴール前まで拡大せよ、という城福監督の注文だった。それまで「僕の仕事はシュート場面をつくり出すこと」と思い定め、シュートでプレーを終えるイメージが乏しかった。殻を破るよう、こつこつ取り組むうち驚くべき変化が起きたという。

「コツをつかめた、というか。目の前の敵をこうかわして打つという流れが見えて、自分とゴールを結ぶコースのようなものも見えてきた。それに沿ってけると入るようになって。これまで年に1、2回あったことが、去年の15点はほとんどそんな感じ」

「見えてきた」のはスピードの調節と関係があるらしい。「今までならドーンとやみくもにやっていたことを8割くらいの体感で打つ。するとシュートをコントロールしやすくなって。それを発見できたのも大きかった」。イメージが豊かになるとシュートに迷いが消える。入る直感がするから打つ、外したら技量不足と割り切れる。はた目には「無理だろ」と思えることも、「自分では強引なことをしているつもりはまるでない」。ほとんど真性ストライカーの言である。

大きな走り ファンを魅了

石川の売り物にストライドの大きな走りがある。そのフォームに魅了されるファンは多い。しかし「走っていて自分でも気持ち良くなる半面、ふくらはぎなどに負担がかかって痛めることも多い。フォーム矯正に取り組んでいるけれど調子がいいときほどそういう走りになってしまう」。イメージが肉体の限界を超える。好調時ほど故障を連れてくる理由だろう。

05年には全治8カ月の重傷を右ひざに負った。戦える状態であり続けること。石川の場合、それが一番の課題かもしれない。ヒントはつかんでいる。「7割、8割の感覚をシュートだけでなくプレー全体に持ち込めたら、ケガの防止にもつながるように思うんです」。ゴール前で得た「悟り」を、今季さらに深く突きつめるつもりだ。(敬称略)

この連載は武智幸徳が担当します。

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