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「10月シリーズ」のカギを握る香港戦
サッカージャーナリスト 大住良之

2009/10/2 7:00
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岡田武史監督率いる日本代表は、10月に日本国内で3試合を行う。8日には静岡で香港とのアジアカップ予選、2日後の10日に横浜でスコットランドとの親善試合、14日には宮城でトーゴとの親善試合である。1日、この3試合に向けた28人のメンバーを発表した岡田監督は「香港戦は公式大会の予選であり、勝たなければならない試合なので、これまでのやり方が分かったメンバーで臨む。スコットランド戦は中1日なので、香港戦で90分間プレーした選手は使わず、それ以外のメンバーを出す。そしてトーゴ戦は両試合のプレーを見て、現状でベストと思われるメンバーで戦う」と説明した。今回は初戦、香港とのアジアカップ予選について考えてみよう。

勝っておきたい香港戦

現在予選が進行しているアジアカップは、2011年1月にカタールで決勝大会が開催される。日本はイエメン、バーレーン、そして香港とともに予選A組に入った。日本は1月20日、イエメンを2-1(熊本)で下して好スタートを切ったが、第2戦はバーレーンに0-1(1月28日、マナマ)で敗れ、現在1勝1敗、勝ち点3で2位にいる。

各チーム2試合を消化した時点で、首位はバーレーンの2勝、勝ち点6。イエメンは1勝1敗、勝ち点3で日本と並んでいる。そして香港は2敗、勝ち点0で最下位という形だ。

各組2位までに入れば「カタール2011」への出場権が与えられる予選なので、これからの試合をしっかりと戦えばいい。だが、11月18日に予定されている香港とのアウェー試合が終わると、来年1月のイエメン戦(アウェー)、3月のバーレーン戦(ホーム)の2試合だけになる。しかも、1月はどんなチーム編成ができるかわからず、3月も「ヨーロッパ組」の参加は難しいと考えられるので、香港との2試合はぜひとも勝っておきたいところだ。

鹿島と川崎の選手は使えない

ただ、思いがけない問題が起こった。9月12日にカシマスタジアムで行われたJリーグの鹿島アントラーズと川崎フロンターレの試合が後半29分に雨で中断し、残りの16分間が10月7日に行われることになったのだ。

今回の28人には鹿島からDF岩政大樹、内田篤人、そして川崎からはGK川島永嗣とMF中村憲剛の計4人が選ばれている。日本代表の第1GKである楢崎正剛(名古屋)が負傷で出場できず、今回選ばれた3人のGKのうち、山本海人(清水)と西川周作(大分)がともに代表経歴がないことを考えると川島が第1GKなのだが、その川島を使えないのは痛い。内田と中村憲も、9月のオランダ遠征では中心選手として活躍しただけに、鹿島と川崎の選手を使うことができないのは岡田監督にとって残念なことに違いない。

「やり慣れたメンバー」で戦う

「ヨーロッパ組」はどうか。今回の集合は6日なので、初日は無理でも7日の練習からは合流できるはずだが、コンディションに不安がある場合は使うことはできないだろう。今回の28人で最も注目されるのは、9月にも選出されながらケガで辞退したFW森本貴幸(カターニャ)だろうが、「香港戦はやり慣れたメンバーで」という岡田監督の方針通りならスコットランド戦での起用ということになるのではないか。同じように、Jリーグで絶好調のMF石川直宏(FC東京)も、香港戦の先発は考えにくい。

GKは西川、DFは右から駒野友一(磐田)、中沢佑二(横浜M)、田中マルクス闘莉王(浦和)、長友佑都(FC東京)、MFは遠藤保仁(G大阪)と中村俊輔(エスパニョール)を軸に、長谷部誠(ヴォルフスブルク)、稲本潤一(レンヌ)、橋本英郎(G大阪)らがからむ形。FWは玉田圭司(名古屋)、岡崎慎司(清水)、大久保嘉人(神戸)、前田遼一(磐田)らの中から選ばれることになるだろう。

北朝鮮を退けた香港

日本と同様、香港もアジアカップの予選を1月に2試合消化している。結果は1月21日にホームでバーレーンに1-3、1週間後の28日にアウェーでイエメンに0-1、2戦2敗で勝ち点0、現状は最下位だ。

だが、香港をあなどることは許されない。8月に台湾の高雄で開催された東アジア選手権予選で、北朝鮮を退けて代表権を獲得したのだ。堅守と速攻で44年ぶりのワールドカップ出場を決めた北朝鮮は、3試合中2試合目に当たる8月25日の香港戦が予選勝ち抜きのヤマと見て、前日に日本からエースの鄭大世(川崎フロンターレ)を呼び寄せ、必勝を期した。しかし、香港も長身選手を並べた守備陣が奮闘し、0-0の引き分けに持ち込んだ。そして予選最終日の8月27日にはグアムに12-0で大勝、得失点差で北朝鮮を上回り、来年2月に日本で開催される決勝大会出場を決めた。

「サウスチャイナ・クラブ」を香港代表に

1月のアジアカップ予選の時期には、セルビア人のアントニッチ監督が香港代表を率いていた。しかしこの東アジア選手権予選では、香港サッカー協会所属の黎新祥(れい・しんしょう)監督が指揮をとった。何よりも大きな変化は、1月の時点ではチャンピオンクラブのサウスチャイナ(南華)が先発の約半分を占めていたものの「オール香港」だったが、8月の東アジア選手権予選ではサウスチャイナ単独チームを「香港代表」として臨んだことだった。しかも当然のことながら、サウスチャイナで活躍する4人のブラジル人は使えないという状況だった。

北朝鮮と引き分けて出場権を獲得できたことは、期待をはるかに上回る奮闘だったに違いない。香港協会はその路線の継続を決め、当面、東アジア選手権の予選を戦ったメンバー、すなわちサウスチャイナ単独で代表の活動をすることにした。指揮官も、サウスチャイナを率いる韓国人の金判坤(キム・パンゴン)監督とした。

警戒を要するFW陳肇麒

香港で最も注目されるのは24歳のFW陳肇麒(ちん・ちょうき)だ。07年に行われた北京オリンピックのアジア2次予選で、香港代表のエースとして日本の守備陣を悩ませた選手だ。昨年、「キッチー(傑志)」からサウスチャイナに移籍し、17試合で12ゴールを挙げる活躍でリーグ優勝の立役者となった。

185センチの長身で、スピードがあり、右足から強烈なシュートを放つ陳肇麒。ゴールが見えればシュートを打つといったタイプで、多少遠いところからでもいきなり打ってくる。香港代表31試合で26得点の記録を見ても、警戒を要する選手であることが分かる。

香港と言えばテクニックはあるものの小柄で非力というイメージがあるが、現在の香港代表は陳肇麒に代表されるように大柄でフィジカルな選手が多い。北朝鮮も、香港の厳しいボディコンタクトにパスワークを乱された。

香港戦でも「志」のあるプレーを

「これまではチームづくりに集中してきたが、今回はいろいろな状況に応じて戦力になる可能性を持った選手を試していく」と岡田監督は語っている。しかし香港戦は、ともかく勝つことを求められる試合。新しい選手のテストが行われるとしても、ある程度勝負が見えてからということになるだろう。

FIFAランキングを見れば、40位の日本に対し、スコットランドが31位、トーゴが71位、そして香港は128位。香港は力が大きく落ちるように見える。しかし、すでにワールドカップ予選が終了して敗退が決まっているスコットランド、また、もしかすると日本と戦う直前のカメルーン戦で予選敗退が決まってしまうトーゴと比較すれば、香港のモチベーションの高さを過小評価することはできない。

日本代表に必要なのは9月のオランダ戦、ガーナ戦と同様の高い意識、すなわち「志」をもったプレーをすることに違いない。オランダを恐れなかったのと同じように香港をあなどらなければ、きっと納得のいく試合ができるし、結果もついてくる。そしてその勝利は、必ずスコットランド戦やトーゴ戦、そしてワールドカップ2010につながっていく。香港戦は「10月シリーズ」のカギを握る試合となる。

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