2019年2月19日(火)

iPhoneアプリの売れ行きを左右するすごいブログ
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2010/2/26付
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「AppBank」のサイト画面

「AppBank」のサイト画面

アップルのスマートフォン「iPhone」向けアプリケーションを紹介する「AppBank」というブログメディアがある。一般にはそれほど知られていないが、AppBankで取り上げられたことで無名のアプリが急に販売を伸ばす例も出ており、iPhoneユーザーやアプリ開発者に大きな影響力を発揮し始めている。

AppBankのメディアとしての実力を物語るのが、2月22日に東京のアップルストア銀座店で開催されたゲーム開発者向けセミナーだ。筆者も運営に関係している国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)が主催したものだが、AppBankの運営者である村井智建氏を講師に招いたところ、80席の会場は開始前に満席となり、立ち見でいっぱいに。最終的には入場制限がかかるほどだった。

数万本のアプリを売るパワー

「AppBank」を運営する村井智建氏

「AppBank」を運営する村井智建氏

AppBankがこれほど注目されているのは、iPhone向けアプリを実際に万単位で売るパワーを持っているためだ。AppBankがアプリを取り上げるかどうかが販売実績にリアルに連動するという意味で、アプリ開発者にはすでに無視することができない存在となっている。

AppBankは08年6月に、「iPhoneアプリをおすすめするAppBank」というサイト名でスタートした。その名のとおり、有名無名のiPhoneアプリのレビュー記事で構成されたサイトである。昨年2月時点ではまだ月間100万ページビュー程度だったが、昨年10月にiPhone用の専用ビューワーアプリをリリースすると、一気に1312万ビューに跳ね上がった。ページビューはiPhoneの普及に連動する形で上昇を続けているようで、今年1月は1700万ビューを稼いでいる。

村井氏によると、「AppBankを始めたのはそもそも、自分もiPhone向けアプリのソフトウエア会社として儲けるためだった」という。メディアを持っていた方がアプリの販売時に有利と考えたわけだが、そうとは思えないほど内容は充実している。

365日更新 無名アプリをヒット作に

AppBankが「YouTube」にアップロードした「SmackTalk!」のプレー動画の画面

AppBankが「YouTube」にアップロードした「SmackTalk!」のプレー動画の画面

驚くのは、休むことなく書き続ける徹底ぶりだ。1日平均11本の記事をアップしており、そのうち9本がレビュー記事。1年365日更新していて、現在までに4600本の記事を公開している。記事の多くは、スクリーンショットを多用してアプリを解説しており、批評ではなく「紹介」にポイントを置いている。

AppBankの影響力を示す例の1つに、「SmackTalk!」というアプリがある。当初はまったく無名だったが、昨年6月にAppBankが記事に取り上げるとダウンロード数が数万本まで上昇し、有料アプリのランキング上位に躍り出た。その人気はしばらく続いた。

SmackTalk!は、iPhoneの録音機能を使ってマイクに吹き込んだ声を、動物が話しているように加工して見せるソフトだ。しゃべったことをオウム返しで再生するだけだが、AppBankでは村井氏自身がこのソフトで遊んだ動画を「YouTube」を使って記事に付けた。この動画は、村井氏が「へへへ」とモルモットとして笑っているだけの内容だが、おもしろさが素直に伝わってくる。こうした潜在的な魅力を記事で引き出すことで、何万ダウンロードという人気アプリに育つ例も多いという。

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