神戸生まれメロンパン 白あん入りでラグビーボール型
メロンパンとサンライズ(2)

エミー隊員が夏休みを取って本州の西の方に帰郷した。休みに入る直前の彼女との会話。
「私、高校時代はサンライズねえちゃんと呼ばれていたんです」
「ははは」
「1時間目が終わるといつも売店でサンライズを買って食べていたから、そんなあだ名がついてしまって」
「ははは」
「今度田舎に帰ったらいっぱいサンライズの写真撮ってきますね」
「ははは」

以上。
という訳なので、そのうち当サイトはサンライズの写真だらけになることだろう。それにしても、サンライズねえちゃんというあだ名がつくほどサンライズを食べ続けて、よく飽きなかったものである。もひとつそれにしても、サンライズねえちゃんというあだ名はそのまんまなので、もう少し工夫というかひねりを利かしてほしかった。
ふと背後にデスクの気配を感じたが、気のせいだったか。まさか、こんな早い段階で踊りながら乱入してくることはあるまいと思うが、念のためけん制しておこう。

ほかの方からも同様の情報が届いています。三林さん、謎が解けてよかったですね。「キューピー『ヴェルデ メロンパン風トーストスプレッド」です。
トーストに塗って焼くとあら不思議、表面にサクっと香ばしいクッキー生地も再現できるんだそうです。

今回は「メロンパンなんて見たこともないからVOTE項目に『見たことがない』を入れてほしい」というメールをいただいた。この方が個人的にみたことがないのか、それともメロンパン空白地帯があるのか。後者であれば私にとっては新発見になる。

メロンパンは、Panis melo
サンライズは、Panis melo cv. sunrise
という感覚です。緑色のものは、メロンパンの「変種」と思っています。メロン果汁入りのは、さらにその変種だと思います(和歌山県在住 あきたけんじんさん)
何語? 食前食語?


メロンパンと言えば、ドラえもんの妹のドラミちゃんの好物です。しかし、私はメロンパンを知りませんでしたので、具体的に彼女がどういうパンを好物にしているのか理解できなかった記憶があります(すずきさん)

愛知県にサンライズはありませんでしたか? 逆に愛媛の松山はサンライズばっかりでメロンパンがなかった。サンライズ文化圏が西日本に存在することは確かなようですが、その範囲はどこからどこまでか。愛知県は入っていないのか。
だ円形(ラグビーボール型)白あん入りメロンパンは現在どこに生息しているのか。焦点が次第にはっきりしてきました。


デスク、カモーン。
呼ばれてデスク乱入 ねっとりした食感のものは、上あごにくっついて厄介です。サクッと焼き上げたものは、のどにつまるので難儀です。どうもメロンパンにはきつく当たりがちだなぁ。「でも、ホントは好きなの」って、いまさら言っても信用されないだろうなぁ。
私の場合はどっちも歯につまる。

白あん入りメロンパンは神戸発祥というのが通説だし、多分それでいいのだろう。しかし先週紹介した神戸新聞の記事は何年にどこの店が開発したというような具体的なことに触れていない。状況証拠はあっても物証がないというところだろうか。
さて、先週米国南部にお住まいの齋藤さんから届いたメキシコ系メロンパン激似の物件情報に関してメールが来ている。
メキシコ方面のConchase(コンチャス)って、本当にメロンパンと似ているんですね。菓子パンは日本で特異的に発達したもの、というような記述をよくみかけますが、そうとも言えないかもしれません。
菓子パンといえばこんなメールが。




「味パン」ありましたありました。懐かしいですねえ。ちょっと貧相なメロンパン(この場合は丸いやつ)みたいな物件で、表面はつるつるだったような記憶があります。「食」パンはわかりましたが「味」パンの「味」って何でしょう。「このパンには甘い味がついているぞー」といっているのだとしたら「ほかのパンは味なしだぞー」と白状しているのと同じ? 名古屋のメロンパン(プレーン)がそっくりだと思いませんか。

「明太子パン」はウチの近所のパン屋さんにもあります。しかもフランスパンのバリエーションです。博多ではみかけなかったということですが、別に明太子をパンに使うことを拒否しているわけではなくて、あっちこっちで明太子を食べる機会が多いので、パンにまで塗りたくろうと思わないだけではないでしょうか。朝飯で明太子ば腹いっぱい食べたとよ。昨日の晩も明太子で焼酎ば飲んだと。そいけんパンにまで明太子はいらんと、という感じ。
突然、広島に飛ぶ。

ホルモン天ぷらの店にはずっと行きたいと思っていたのですが、どうも常連さんしか来ないようですので、ためらっていたところです。ホルモン天ぷら屋での正しい立ち居振る舞い(注文の仕方など)について何か発見がありましたら、ぜひご教示ください。
他にも近所に、引っ越してきたときからずっと気にかかっている店があります。「喫茶店E」という、平和記念公園の近くにある店です。喫茶店であるにもかかわらず、入り口に「ぜんざい ぞうに にゅうめん」というブリキ(たぶん)の看板が終日(おそらく、これまで何年もの間)かけられています。入ってみたいのですが、いかんせん中が暗くてよく見えず、まさかとって食われることもないでしょうけど、二の足をふませる雰囲気を十分たたえています。
「ぜんざいコーヒー」を出す店というのはここではありませんか? それとも広島では「ぜんざいコーヒー」は当たり前の飲み物なのかしら。同じ地元系でも、若い女性向けのこじゃれたカフェには置いていないようです。
ちなみに、お好み焼き屋さんには1人で入れるようになりました。でも、近所にある、中学生らしき手伝いの息子をどやしつけながら華麗にお好み焼きを焼くおばちゃんの店には、あまり行っていません。おいしいのですが、こわくてなんだか落ちつかないので……(sujataさん)

ホルモン天ぷらの店での立ち居振る舞いですが、刃渡り12センチの包丁をむやみに振り回したりしないという以外は特に気をつけることはないと思います。ただ何を頼んでも量が多いので注意してください。店の女性は親切です。子供をどやしつけたりしていません。
「ぜんざいコーヒー」の店は紙屋町交差点の角にある地元大型電器店の周辺をうろうろしていると見つかります。目印は「元祖お好みスパゲッティ」の看板です。私はそこの「ぜんざいコーヒー」は体験済みなので、できれば「あん蜜コーヒー」の方を飲んで(食べてか?)、どんな物件だったか教えてくださるとうれしいです。

このセミ問題について、焼きミカン問題以上のショックを受けた私は早速全国規模の実態調査が必要だとの認識にいたったのですが、私自身の調査能力では問題提出が精いっぱいで、とても全国調査の実施はおぼつきません。そこで、是非貴欄にて取り上げて頂き、セミ問題の全国的な傾向と分布を明らかにしていただければ幸いです。また、他の種類の昆虫を生で食する習慣があるのか?ないのか?なども派生問題として提出できるのではないか、と考えています(30代の大学院生さん)

昆虫食というのは世界的に見ればそんなにまれなケースではありませんし、国内でもイナゴの佃煮や生のハチの子、川にいるザザ虫を食べる地域はあります。昔「ローマ会議」で将来の人口爆発に警鐘を鳴らしつつ、地球規模で貴重なたんぱく源として昆虫を見直すべきだという議論をしていた記憶がうっすらとあります。
でも広島のセミについて私の第一感は「ジョーク、冗談」。あなたが話を聞いた人はセミが好物だと言っていたとしても地域食としてのセミというのは存在しないと思います。だって広島は海が近い。魚介類というたん白源が簡単に手に入ります。広島の読者の皆さんからのメールを待って結論を出す必要があるでしょうが、その前に周辺のほかの人にも聞いてみてください。多分「ええー」という反応だろうと思いますよ。でも実は本当だったりして……まさか。
福島で冷やし中華にマヨ派が多いのはなぜか。福島のテレジアさんが連れ合い(40代男)に家庭内取材を敢行してくださった。

連れ合い 「冷やし中華を食べはじめたのは、就職で実家を出てからだが、それ以来ずっと冷やし中華にマヨネーズはついているものという感じ」
「食堂でも、一人暮らしの部屋でもマヨネーズつきが普通。自炊で袋に入った乾麺のインスタント冷やし中華を家でよく食べた。たしかマヨネーズの小袋が入っていた」
生麺でない冷やし中華を私も食べてきましたが、マヨネーズってついていたのでしょうか。連れ合いは「一人暮らしをしていたとき、おかずがないとご飯にマヨネーズと醤油かけて食べたもんだよ」と言います。この40代男はけっこうマヨラーだったのです。私はあまりマヨネーズを料理に使いませんが、不満を感じていないのか。何でも出されたものは文句言わずによく食べるので、私のこしらえている料理をどう思っているかわからないですね……今日スーパーで、すぐ食べられる冷やし中華を見たらマヨネーズの小袋つきでした……マヨネーズの話を書いたためか、今夜はポテトサラダをつくりました。

はいどうもありがとうございました。仲よさそうですね。福島で市販されている調理済み冷やし中華はマヨ付きだったということは、マヨが普通であることをうかがわせます。どんな理由で福島はマヨ地帯になったのでしょうか。中京のスガキヤに相当するような店でもあるのでしょうか。さらなる情報を待っています。
さてここで唐突に「ばばへら」問題が浮上した。メロンパンはどこいっちゃったんだろうという感じだが、面白いのでじっくりと読んでいただきたい。

ばばとは秋田のことばで年配の女性(若い女性は「あね」)、へらはご飯をよそうしゃもじ等を総称していて、「ばばへら」というのは要するに「ばばがへらで盛ってくれるアイスクリーム売り」なんだそうです。観光地でアイスクリーム売りがいるのはそうめずらしくもないので、「ばばへら」という名称だけが印象的でありました。そのあと、せっかく来たからと車で田沢湖まで連れて行ってもらったのですが、田沢湖までの道路沿いでしばしばそのばばへらを目撃しました。ただ、ふしぎなのはそのばばへらの周囲になにも移動手段(自動車とか自転車等)が見当たらないこと。路線バスの通っているようなところではありません。それでふしぎに思って「あの人たちはどうやってここまで来ているのでしょうか」と地元の人に聞くと、実はそのばばへらは地元のナントカ冷菓というアイスクリーム屋さんが朝トラックでパラソルとアイスクリームボックスとおばさんとをセットで、観光スポットや沿道にすぽすぽ置いていって、また夕方回収していくのだそうです。
え?
人通りやイベント等で、その配置も微妙に変えていくらしい。
え?
「そういえば小学校のときなんか、運動会にばばへらは来ていたなあ」
え?
案内してくれた人(40歳前後)が物心ついたときにはすでにあったといいますから、もう数十年の歴史があるようです。こんなの初めてみた、というと、「東京にはないかね」とかえってびっくりしていました。地元ではばばへらメーリングリストなんぞもあるそうで、「どこどこの角のばばへらはあねへらだった(要するに若い売り子だった)」というような情報が流れるのだそうです(それを見て、いってみたらやっぱりばばに交代していた、ということがあるそうです)。
ついにがまんできずに、車をとめてもらってばばへらアイスを買いましたが、これがまたちょいと不思議でクリーム色の生地に赤いしま模様がまだらにはいっているアイス(それ1種類しかない)をコーンによそってくれるのですが、クリーム色のところはバニラとも微妙にちがい、赤い色のところも色はラズベリーっぽいのですがなんだかわからず、ただ乳脂肪分が少ないことだけはわかりました。かといってまずいわけでもなく、ものすごーくおいしいか、というとあまりそうでもなくて。
ただ、東京あたりとちがってコンビニエンスストアや自動販売機は街中にしかないので、そこそこ売れてはいるようです。ばばへらは看板ものぼりもなく、客引きをするでもないおばさんが辛抱強くすわっているだけで、商売気があるのかないのかもよくわからないのですが、本を読んだりラジオを聴いたりという人も一人もいなかったので、勤務態度はきわめてまじめであります。
これはおそらく雪深い秋田の人だからこその忍耐強さでありましょう。それにしてもなんとフレキシブルなモバイル販売形態でありましょう。無店舗販売の先駆的な方式です。 ところがこれはどうも秋田市およびその周辺だけらしく、秋田県出身のべつの人(この人は花巻といって岩手県寄りの地域出身)は、ばばへらのことはまったく知りませんでした。ところが、先日、出張で山形に言った際このばばへらのことを話したら、山形県でも日本海側の地域では、そういった形態のアイスクリーム売りはいるらしいのです。
「え、なんと呼ばれていますかその人たちはっ」と聞くと「ううん、そだなあ。アイスクリーム屋さん、だなあ」とのこと。どうもこれは北廻船のルートあたりと関係があるのかもしれません(酒井さん)

面白いでしょう? 味があるでしょう? 朝方、ばばがトラックですぽすぽ置かれていくところを想像しただけでうれしくなるでしょう? 問題のアイスが特においしくもなくまずくもないところがいいでしょう? 好きだなあ、こういうの。今度ばばに会いに行こうっと。
おっと、帰省中のエミー隊員から緊急メールが入った。

エミー隊員 今日、久々に家族と連れ立って山口市まで観光に出掛けました(ザビエル記念聖堂&大内氏の菩提寺、瑠璃光寺ツアーです)。そして、パン屋に入ったところ……
ありました、サンライズ。堂々と売られていました。しかし説明書きには「みーんな大好き!!〇〇〇のオリジナルメロンパン」
オリジナルメロンパン……? サンライズじゃないの???
エミー「すいません、これってメロンパンなんですか?」
店員 「はい、メロンパンです」
エミー「でも、サンライズじゃあ……何が違うんですか?」
店員 「うー……(困って)ちょっと待っててください」
(店員、焼き場に行く。戻ってきて)
店員 「サンライズはサンライズです。メロンパンとは違います」
エミー「え? いったいそれって……?」

そこで店員さんは逃げてしまいました。思い切って焼き場の人に聞けばよかった。謎は深まるばかりです。
山口ではサンライズが消滅してメロンパンにとって代わられようとしているのだろうか。
サンライズねえちゃん、冒頭から苦戦。
(特別編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にして
います]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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