横浜市大、公益目的事業比率基準が公益法人の費用配分行動に及ぼす影響について解明
発表日:2023年03月02日
公益目的事業比率基準が公益法人の費用配分行動に及ぼす影響について解明
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科の黒木 淳 准教授と同研究科の夏吉裕貴さん(博士後期課程3年)は、日本で初めて、公益社団・財団法人(*1)(以下、公益法人)に対する公益目的事業比率(*2)基準の存在と公益法人のガバナンスの状態が、公益法人の費用配分行動に与える影響について解明しました。
■研究成果のポイント
●公益目的事業比率の50%基準に抵触する恐れのある公益法人では、収益事業費用ではなく公益目的事業費用に多めに配分する可能性が高くなることを示しました。
●約10.8%の公益法人が、課税所得を圧縮するために収益事業費用に対して公益目的事業費用から多めに配分している可能性を示しました。
●公益目的事業比率の50%基準に抵触する恐れのある公益法人では、理事会の規模が大きいほど、公益目的事業費用への配分傾向が強くなることを示しました。
本研究の結果は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、認定法)に基づく公益目的事業比率基準は、公益法人が収益事業(*3)ではなく、公益目的事業に対する活動に焦点を当てることを促している可能性を示唆しています。また、公益法人の利害関係者にとって公益法人の理事会(*4)を拡大することで、公益目的事業比率基準への対応強化を図ることができる可能性を提示しています。
本研究の発見事項に基づけば、日本にある9,640の公益法人(2021年12月1日現在)について、非営利組織の本来のミッションや目的に沿う活動に懸念が生じた場合には、費用に関する規制がひとつの有効な方策であると考えられます。また、本研究の結果は、公益法人以外の非営利組織においても公益活動の増進に資する費用に注目する必要性を示唆しています。
本研究成果はThe International Journal of Accountingに掲載されました。(2023年2月20日) https://doi.org/10.1142/S1094406023500075
※以下は添付リリースを参照
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添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/650340/01_202303021102.pdf
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