横浜市大と東大、国内ビッグデータ解析から心不全患者の体重変化と入院中の死亡率の関係を明らかに
発表日:2023年01月12日
心不全患者の体重変化に注意! 国内ビッグデータ解析から入院中の死亡率と関係を明らかに
横浜市立大学学術院医学群 循環器・腎臓・高血圧内科学の田村功一教授、小西正紹講師、東京大学大学院医学系研究科の小室一成教授、康永秀生教授、金子英弘特任講師らの研究グループは、日本の大規模な疫学データベースを解析することで、心不全(*1)患者の体重変化と入院中の死亡率の関係を明らかにしました。本研究の結果は、現在もなお適切な対応が難しい心不全患者の水分、栄養管理に貢献することが期待されます。
本研究成果は、Journal of Cachexia, Sarcopenia, and Muscle誌に掲載されました。(2022年12月23日 オンライン)
[研究成果のポイント]
● 心不全患者の体重変化と入院中の死亡率の関係を明らかにした日本初の観察研究
● 前回入院時より体重が減っている患者は総じて死亡率が高いことが判明
● 短い期間に体重が増加した患者も死亡率が高いことが判明
■研究背景
社会の高齢化とともに心不全患者は増加しています。慢性疾患患者の多くが疾病に関連した体重減少に苦しんでいて、慢性心疾患の代表である心不全もその例外ではありません。慢性疾患に関連した体重減少は、全身の炎症やホルモンの異常を伴い、がんなどの他の慢性疾患でも問題になります。がん患者においては体重減少が死亡率と密接に関連していることが明らかになっている一方、心不全における体重減少の評価は困難です。なぜなら、心不全は体内の水分量が劇的に変化する疾患であり、体重変化が水分量の変化を示すのか、筋肉や脂肪(栄養)の量の変化を示すのかの判断が難しいからです。それでも長期的に見ると、慢性心不全患者の体重減少は死亡率の上昇と関連し、逆に急な体重増加は再入院率の上昇と関連することがわかっています。しかし現在のところ、体重の変化が心不全の入院中の死亡率に及ぼす影響について、十分な数の患者を対象にした研究は行われていませんでした。この影響がわかると、死亡率の高い患者を事前に予測することが可能になるだけでなく、今後体重を減らさないための治療(栄養療法など)、体重を減らす治療(利尿薬など)の有効性を明らかにする研究の発展につながります。
※以下は添付リリースを参照
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添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/647441/01_202301121559.pdf