三菱電機、学習モデルを自動設計しコンパクト化する「量子機械学習技術」を開発しテラヘルツ・イメージングで高性能化を実証
発表日:2022年12月02日


学習モデルを自動設計しコンパクト化する「量子機械学習技術」を開発
世界初、テラヘルツ・イメージングで高性能化を実証
*参考画像・イメージ画像は添付の関連資料を参照
三菱電機株式会社は、学習モデルを自動設計して最適化することで、計算規模をコンパクト化する量子機械学習技術を開発し、世界で初めて(※1)テラヘルツ・イメージングでの高性能化を実証しました。今回開発した量子機械学習技術は、従来の古典機械学習と組み合わせることで、電波のような高い透過性と光のように優れた直進性をもつテラヘルツ波(※2)の特長を活かした物体の透視イメージングによる非破壊検査や、電波を利用して人の動きや室内環境を把握する無線室内モニタリング等の幅広い用途に適用できます。
近年、量子ビットを用いた計算で高度な処理能力を発揮する量子コンピューターの開発が世界中で加速しています。この量子コンピューターなどに適用される量子アルゴリズムは、新材料の開発や予測がつきにくい交通渋滞を考慮した配送ルートの最適化など、さまざまな分野でビッグデータの解析、AIの開発などに大きな進展をもたらすことが期待されています。一方、AIでの進歩が著しい深層学習(※3)モデルにおいて、従来の古典機械学習(※4)は優れた推論性能を達成できるものの、所要計算規模が膨大なものとなり、また学習データ(※5)が限られる際に十分な性能を発揮できないといった課題がありました。
当社は今回、少ない量子ビット数で多くの情報を同時に処理できる量子コンピューターの特性を活かして、古典機械学習と組み合わせたハイブリッドで協調的に学習することで、限られた学習データでもコンパクトな計算規模で十分な性能を発揮でき、学習にかかる計算時間の大幅な削減が可能な量子機械学習技術を開発しました。また、この技術が世界で初めて非破壊テラヘルツ検査、無線室内モニタリング、圧縮センシング、生体信号処理などの複数の分野で高性能化に寄与することを確認しました。
本成果は、国際会議IEEE Global Communications Conference (GLOBECOM) 2022のTutorial Sessionにて紹介します。
[開発した技術の特長]
1.量子機械学習の学習モデルを自動設計して最適化することでコンパクト化を実現
・量子機械学習と従来の機械学習を組み合わせた量子・古典ハイブリッド機械学習モデルを多目的ベイズ最適化(※6)により、自動設計する手法を開発
・量子機械学習の学習モデルの構成と量子ビット数などのハイパーパラメータ(※7)を、学習により同時に最適化することでコンパクト化を実現
・自動設計された量子・古典ハイブリッド機械学習モデルは、コンパクトでありながら高性能化を実現
※1 2022年12月2日現在、当社調べ
※2 光と電波の中間の周波数領域にある、0.1〜10テラヘルツ近傍の電磁波
※3 音声の認識や画像の特定、識別、予測など、人間が行うタスクをコンピューターに学習させる機械学習の手法の一つ
※4 現在普及しているコンピューター上で動作するように設計された機械学習
※5 AIモデルや機械学習アルゴリズムが適切な判断を導くことができるようにラベリングされたデータ
※6 目的関数や探索空間についてベイズ的なモデルを構築して、獲得関数と呼ばれる基準を用いて有望な解を効率的にサンプルする手法
※7 機械学習アルゴリズムに人の手を介して設定するパラメータ
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/645257/01_202212021145.jpg
イメージ画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/645257/02_202212021145.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/645257/03_202212021145.pdf
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