三井化学、TPXの特徴を生かした細胞培養ツールとして「InnoCell(高酸素透過性培養容器)」を開発
発表日:2022年07月06日


三井化学、高酸素透過性細胞培養容器InnoCell(TM)の製品化技術確立
三井化学株式会社(所在:東京都港区、代表取締役社長:橋本修、以下「三井化学」)は、三井化学が製造販売する世界唯一の樹脂であるTPX(R)(※1)の特徴を生かした新しい細胞培養ツールとして「InnoCell(TM)(イノセル、高酸素透過性培養容器(※2))」を開発しました。2022年度末を目標に市場投入を行っていく計画です。
〈素材から細胞培養にイノベーションを!〉
■新しい細胞培養ツール InnoCell(TM)の特徴
*ロゴは添付の関連資料を参照
工業生産されるプラスチック素材の中で、最も高いレベルの酸素透過性を有すTPX(R)(Polymethylpentene, PMP)を用いてInnoCell(TM)(イノセル、高酸素透過性細胞培養容器)を開発しました。TPX(R)を使用することにより、従来の培養プレートに比べ、培養容器底面からの酸素供給を約200倍も効率的に細胞に供給することが可能となりました。またTPX(R)が持つ高い離型性に加え、精密加工技術により、細胞毒になる化学物質の溶出が抑えられ、薬剤の収着も起こりにくいことから、研究用途だけでなく創薬アッセイツールとしての活用にも適用可能になると考えられています。
これまで、東京大学 酒井康行教授(※3)、千葉大学 伊藤晃成教授(※4)、株式会社マイオリッジ(※5)との共同研究により、肝細胞や心筋細胞のミトコンドリア機能の賦活化に起因する代謝活性の向上や毒性感受性の向上が確認されました。従来、酸素要求性の高い細胞の培養では、培地中の酸素を補うため、培養皿を振動させたり、培地量を調整するなど、容易にコントロールできませんでした。InnoCell(TM)により、酸素供給を簡便に行える新規in vitro培養法が実現するため、再生医療研究(スフェロイド・オルガノイド)や創薬開発研究(毒性試験、薬物動態試験、薬効試験)が加速されることが期待されます。
*参考画像は添付の関連資料を参照
■三井化学の細胞培養ソリューション
三井化学は触媒技術や有機合成技術、加工技術を有し、多品種な機能性化学製品、機能性樹脂を製造販売しております。長期経営計画「VISION 2030」において、次世代事業領域では、研究開発力やアセットを生かしたソリューションビジネスの強化を掲げています。
三井化学の強みである素材開発から一気通貫した製品開発により、培養用プレート、マイクロ流路デバイスなどの試験・創薬用途、不織布材料を用いた高品質幹細胞の合成など、細胞テクノロジー領域における顧客課題解決型ソリューションビジネスへの展開を促進していきます。また創薬、食品開発における動物実験や動物原料の使用の削減に貢献していきます。
※1 TPX(R)製品サイト: https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/tpx/
※2 InnoCell(TM)は培養技術へイノベーションを与える三井化学の細胞培養容器のブランドです。
※3 東京大学大学院工学系研究科・化学システム工学専攻 教授
※4 千葉大学大学院薬学研究科・生物薬剤学研究室 教授
※5 株式会社マイオリッジ https://myoridge.co.jp/
■参考
関連したプレスリリース:
・ https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2022/2022_0316.htm(2022年3月16日)
「三井化学、フルステム社と幹細胞高密度大量培養に使用する高機能不織布の共同開発を開始」
以上
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