阪大・東北大など、量子コンピュータの基礎となるトポロジカル超伝導体固有のスピン伝導現象を解明
発表日:2022年03月14日

量子コンピュータの基礎となるトポロジカル超伝導体固有のスピン伝導現象を解明
—ヘリカルクーパー対に由来したスピン流生成—
【研究成果のポイント】
◆ 量子コンピュータやスピントロニクスへの応用が期待されているトポロジカル超伝導体の新しいスピン伝導現象を発見しました。
◆ 試料の両端に温度差をつけることによって、トポロジカル超伝導の原因となるヘリカルクーパー対が、温度勾配と垂直方向に電子スピンの流れを誘起することを理論的に明らかにしました。
◆ このスピン伝導現象を観測することによって、ヘリカルクーパー対の存在、およびトポロジカル超伝導の実現を立証することが可能となります。以上の成果により、現実物質におけるトポロジカル超伝導やそこで実現するマヨラナ準粒子の理解が進展することが期待されます。
◇概要
大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻の大学院生の松下太樹さん(博士後期課程)、安藤慈英さん(博士前期課程)、水島健准教授、藤本聡教授、東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の正木祐輔助教、ルイジアナ州立大学物理学研究科のIlya Vekhter(イリヤ・ベクター)教授は、トポロジカル超伝導体(※1)の起源であるヘリカルクーパー対(※2)に由来したスピン伝導現象を理論的に解明しました。
トポロジカル超伝導体は、マヨラナ準粒子(※3)を実現する舞台として注目を集めています。マヨラナ準粒子はそれ自体が環境ノイズに強い耐性を持つ量子ビットであり、マヨラナ準粒子を活用したトポロジカル量子コンピュータの実現が期待されています。
これまでいくつかのトポロジカル超伝導体の候補物質が提案されてきましたが、いずれの物質でもトポロジカル超伝導の実験的な確証はまだ得られていません。トポロジカル超伝導の立証を難しくしている理由の一つが、トポロジカル超伝導固有の応答や輸送特性の理解が不十分であることです。特に、トポロジカル超伝導の起源となるヘリカルクーパー対(図1)に由来した輸送特性は明らかにされていませんでした。
*図1は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
図1
https://release.nikkei.co.jp/attach/628307/01_202203141453.PNG
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/628307/02_202203141453.pdf