東北大など、4Vで動作する有機リチウムイオン電池を実証
発表日:2022年03月11日
4Vで動作する有機リチウムイオン電池を実証
〜金属資源を一切使用しない高エネルギー密度蓄電池へ〜
【発表のポイント】
● リチウムイオン電池の次世代材料として注目される有機物正極材料の課題を検討。
● 低分子有機化合物「クロコン酸」を正極材料に用いることで、現行リチウムイオン電池よりも高い4Vでの高電圧動作を実証。
● 金属資源を一切使用しない、安価でレアメタルフリーな高エネルギー密度蓄電池開発が期待。
【概要】
現在、リチウムイオン電池にはコバルトをはじめとするレアメタルが使用されています。しかしコバルト資源は、2030年頃には逼迫すると予想されています。また産業競争力強化の観点からは、電池製品の低コスト・高安全・高エネルギー・高出力などの高性能化が求められています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校博士課程 勝山湧斗さん、東北大学多元物質科学研究所 小林弘明助教、本間格教授らは、この課題解決のために、レアメタルを一切用いない有機レドックス分子のリチウムイオン電池正極材料応用を検討しました。有機物は炭素、酸素、窒素、水素など豊富な軽元素のみで構成され、高電位でのレドックス反応が利用できればレアメタルフリーで低価格かつ軽い高容量蓄電池が実現できるため次世代正極材料として注目されています。今回、低分子の有機化合物である「クロコン酸」が4Vを超える高電圧領域で利用できることを見出し、有機リチウムイオン電池の高電圧作動を実証しました。現行の無機化合物電極材料よりも高い電圧での動作が可能であり、レアメタルフリーな高エネルギー密度蓄電池としての開発が期待されます。
本成果は主にJSPS科研費 基盤研究 A(21H04696)により得られ、2022年3月10日にAdvanced Science誌にオンライン掲載されました。
※以下は添付リリースを参照
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添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/628201/01_202203111445.pdf
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