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宿の歯ブラシに「脱プラ」の波 コスト増で有料化?

おカネ知って納得

脱プラに対応した使い捨て歯ブラシの試作が進む

ホテルや旅館でおなじみの使い捨て歯ブラシに、脱プラスチックの波が押し寄せている。2022年4月に施行予定の「プラスチック資源循環促進法」は、代替材料の使用などを義務付ける。生産コストの上昇は避けられず、客室での無料提供が難しくなる恐れがある。おもてなしの一環だったアメニティーグッズが転機を迎えている。

「どのくらいの値上げ幅ならいいのか」。日本有数の歯ブラシ産地である大阪府内で、あるメーカーが頭を抱えている。ヤシの実を砕いた粉末を混ぜ込んで試作したものの、価格はプラより3割は高くなる。柄の内部に空洞をつくって材料の量を減らせば、口の中で折れたり割れたりしてけがにつながる恐れがある。

一方、仕入れる側の宿泊業者は新型コロナウイルスの影響で青息吐息だ。新法を踏まえた歯ブラシの選定はこれからだが、メーカーとの間に立つ卸売業者によれば、従来の価格維持か値上げをのむとしても1割の幅が限度。「脱プラの必要性は分かるが、コロナの今はタイミングが悪すぎる」

そもそも使い捨て歯ブラシの現在の価格は驚くほど安い。チューブ入り歯磨き粉のセットで、ビジネスホテル向けが卸売りベースで8円から10円台前半、高級ホテル向けなら10円台後半が相場。「宿泊業者との交渉は銭単位で、ほとんどもうけが残らない」とメーカーは嘆く。

そんな薄利のビジネスで、使用後に回収してリサイクルする余裕はない。毛の根元には固定するための金属が埋まっており、プラだけを取り出すには首から先をいちいち切除しなければならない。

現実的な策として浮上しているのが、歯ブラシを客室に置かず、必要な客だけがフロントから持っていく方式だ。「単価が上がっても本数が減れば、宿泊業者の負担は増えない」(卸売業者)。歯ブラシを辞退した客にポイントをつけることで、本数を一段と減らすことも可能だ。

焦点は有料化まで進むかどうか。家から歯ブラシを持参する習慣が根付けば、脱プラとしては大きな進展だが、歯ブラシ業界には打撃だ。年に約5億本の国内市場で、宿泊向けは4割を占める。宿泊業界も競合や顧客の利便性を考えれば、すぐには有料化しにくい。新法を横目に、落としどころを模索する動きが始まっている。(高橋圭介)

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