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通勤時間帯は運賃高く? JR西日本、混雑平準化狙う

おカネ知って納得

JR西日本の電車と乗降客

降りる時間が1分変わると運賃が数十円高くなる――。そんな時代が来るかもしれない。関西でもJR西日本が導入を検討しているダイナミックプライシング(変動料金制)だ。ラッシュ時を高く、それ以外を安くすることで利用の平準化を図る。導入には課題も多いが、新型コロナウイルス禍で議論は加速している。

JR西は2020年7月に時間帯別運賃の導入を表明。特に混む朝の通勤時間帯の利用を平準化したい考えで、長谷川一明社長は「ピーク時間帯のために用意している車両などを効率化できる」と説明していた。JR西では神戸線(大阪―尼崎駅間)でみるとラッシュ時は昼間の約1.5倍の列車が走っており、それだけ多くの車両や人員が必要になっている。

実際に時間帯別運賃を導入する場合、どうなるのか。JR西の資料を読み解くと、大阪の主要駅で平日の時間帯別では午前7、8時台に1日の利用の約2割が集中している。特にこの利用の分散を目指すとみられる。その上で朝ラッシュとそのほかの時間帯の2つの運賃を導入すると仮定する。

運賃の設定では、導入後にラッシュ時の利用人数の減少が総経費を数%程度減少させられると仮定した上で1日の総収入も単純計算で経費と同程度減少するように算出した。具体的には大阪駅―尼崎駅の運賃(180円)では、午前7、8時台は20円高い200円、他の時間帯は10円安い170円といった形態が考えられそうだ。

ただ実際の導入には壁も高い。鉄道の運賃は鉄道会社が上限と定めた運賃を国に届け出て認可を受ける。運賃は営業の原価に適正な利潤を加えた範囲内かを審査される。現在の制度では時間帯別運賃で一部時間帯のみの値上げでもこのプロセスでコストが持続的に増えることを示す必要があるのだ。

そこでJR西がまず4月から始めたのが、交通系ICカード「ICOCA(イコカ)」の通勤定期券を使った時間帯別運賃の「テストマーケティング」だ。ポイントサービスに登録した利用者を対象に午前9時15分から午前10時30分に大阪駅など都心部の駅を出ると20円分のポイントを付与する。朝のラッシュ時の利用者を2~3%減らしたい狙いだ。

国も検討に乗り出した。5月に閣議決定された今後の交通政策の方向性を定めた計画には変動料金制の検討が盛り込まれた。ただし検討ではエッセンシャルワーカーといった利用者への配慮など課題も残るとする。さらに時差通勤の推奨では企業側の理解も不可欠なため、鉄道会社の枠を超えた議論が必要になりそうだ。(金岡弘記)

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