京都・建仁寺のモミジ無断伐採 祇園の料理店「飾りに」

京都市東山区の建仁寺境内で、紅葉の見ごろを迎えたイロハモミジの枝が無断で伐採されていたことが30日、寺への取材で分かった。寺は、近くの祇園にある日本料理店の関係者が伐採したと主張。店側は取材に関与を認め「料理の飾りに使った」と説明した。店は「ミシュランガイド京都・大阪2023」で二つ星に選ばれている。
寺によると、18日午後10時半ごろ、境内の駐車場利用者がポリ袋を持った男性2人を目撃。袋の中には長さ17~40センチのモミジの枝3本が入っており、寺と京都府警に通報した。寺は21日、府警に被害届を出した。被害額は約3千円と見積もった。
寺の聞き取りに対し、2人は日本料理店の従業員だと認めた。寺の防犯カメラにはフェンスによじ登ってモミジの枝を切る様子が映っていた。この数日前にも境内で枝を切ろうとする男性を僧侶が見つけ、注意した。同じ料理店の関係者を名乗っていたという。
店の責任者は取材に18日の伐採を認め「繁忙期で料理の飾りに使うモミジを里山まで取りに行けず、近くで取ってしまった。認識が甘かった」と話した。18日以前にあった件は従業員が関与を否定したという。
建仁寺の浅野俊道・内務部長は「他の神社仏閣でも似たような被害があると思う。境内の樹木は参拝者の心の癒やしになる。やめてほしい」と訴えた。過去にも境内のマツが無断で伐採されたことがあった。
建仁寺は臨済宗建仁寺派の大本山。境内は生活道路として夜間も通行できる。〔共同〕