9人犠牲の施設跡地で追悼 岩手、台風10号から5年
岩手県を中心に大きな豪雨被害が出た2016年の台風10号から5年となった30日、入所者9人全員が死亡した同県岩泉町の高齢者グループホーム「楽ん楽ん」跡地で、隣接する施設の職員らが出勤の際に手を合わせ、犠牲者を追悼した。

合掌したのは、同じ法人が運営する高齢者施設「ふれんどりー岩泉」の職員と法人の役員ら。花や果物が供えられた祭壇に向かい、犠牲者を悼んだ。三上昇勝総務部長は「亡くなられた方には本当に申し訳なかった。今後はさらに防災意識を高めたい」と話した。
台風10号は、気象庁の観測史上初めて東北の太平洋側へ直接上陸。岩手県では岩泉町を中心に関連死を含め計28人が死亡、1人が行方不明となり、北海道でも犠牲者が出た。
氾濫した小本川の濁流が押し寄せた楽ん楽んの被害では、施設側が洪水の避難計画を作っていなかったことが問題視され、国は水防法と土砂災害防止法を改正。自治体が指定する福祉施設などに避難計画の策定や訓練実施を義務付けた。〔共同〕