塩野義製薬のコロナ薬「ゾコーバ」、政府購入で1000億円

塩野義製薬は30日、2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比49%増の1700億円になりそうだと発表した。最高益を計画していた従来予想から、さらに280億円上方修正した。22年11月に厚生労働省が緊急承認した新型コロナウイルス治療薬「ゾコーバ」は日本政府が200万人分を購入、10〜12月期に1000億円の売り上げを計上して保守的に見通していた利益が上振れした。
ゾコーバは日本国内だけで年間売上高が1000億円を超す大型薬「ブロックバスター」となった。今後は韓国や中国など海外展開を進める。韓国では条件付き製造販売承認を申請しており、中国では年間2000万人分の生産体制を構築済みだ。米国などでは臨床試験(治験)を実施している。ゾコーバの通期売上見通しについては、従来予想の1100億円で据え置いた。
ゾコーバに加えて、英製薬会社にライセンス供与している抗エイズウイルス(HIV)薬も好調で、ロイヤルティー収入が想定を超えることが上方修正の要因となった。出資している英製薬ヴィーブの抗HIV薬が注射剤などを中心に堅調に推移し、ロイヤルティー収入は従来予想を110億円上回る見込みだ。塩野義はロイヤルティー収入が売上収益の4割を占める。
売上高にあたる売上収益は26%増の4210億円、営業利益は33%増の1470億円を見込む。売上収益は110億円、営業利益は270億円上方修正し、いずれも過去最高を更新する。
同日発表した22年4〜12月期の連結決算は、純利益が前年同期比2.2倍の1577億円だった。営業利益は2.4倍の1464億円で過去最高益を更新した。

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