近江鉄道の上下分離で資産管理団体 滋賀県と10市町

滋賀県と沿線10市町は27日、近江鉄道(滋賀県彦根市)の車両や線路などを保有する資産管理団体「近江鉄道線管理機構」の設立総会を開いた。2024年4月の上下分離に向けて、運行を近江鉄道が担い、設備投資・修繕費を国や自治体が分担する体制が確立した。三日月大造知事は「安全を優先し公共交通を中心としたまちづくりに向け、きょうが出発点になる」と語った。
近江鉄道の上下分離では、年7億円以上と見込まれる設備投資・修繕費(国の補助金除く)の負担割合が最大の課題だった。関係する基礎自治体が10市町と多いうえ、JR琵琶湖線が中心部を通るかどうかで、近江鉄道への依存度の差が大きいためだ。当初3分の1とみられていた県の負担割合を2分の1に引き上げて、市町全体の負担を抑えたことが合意につながったと関係者は明かす。
27日の設立総会では定款や規則を議決した。設備投資や修繕費の負担金に関する規則では、上限額は決めずに負担割合のみを明記した。10市町間の割合は所在する駅数などに応じて、東近江市が最大の41%、彦根市が18%などとなった。
東近江市の小椋正清市長は記者団に「(負担金は)決して青天井ではないが、予測できない事態や課題解決に費用を伴うこともある。財政よりも機構をうまく運用していく(のが重要だ)」と話した。三日月知事は「最小の費用で最大の効果を生む努力をする。上限は決めていないが、県民の理解を得ながら丁寧に議論する」と述べた。
同機構は一般社団法人で、知事ら11人の首長を社員とする。近江鉄道の本社横に事務所を置く。代表理事に東近江市の南川喜代和・副市長が就いた。上下分離移行までに近江鉄道の資産を把握し、同機構に移管するかどうかを分類する。国に提出する10年間の鉄道事業再構築実施計画づくりにも関わる。

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