シノプス、AIが総菜やパンの値引き率・タイミング判断

小売店向け自動発注システムを手掛けるシノプスは、人工知能(AI)が総菜やパンなどの日配品の値引きを判断するシステムの販売を始めた。過去の販売データを学習したAIが、品物ごとに適切な値引き率やタイミングを指示する。初期導入しやすい定額課金(サブスクリプション)形式で売り込み、スーパーの人手不足解消や食品ロスの削減につなげる。
牛乳や納豆などの日配品と総菜を対象に値引きを判断するシステム「AI値引き」を販売する。過去数年分の販売情報と、天気予報などをもとにした当日の来客数予想を加味して、AIが廃棄を出さずに売り上げを最大にする対応を指示する。
スーパーでは通常、店舗ごとに売り場担当社員が値引き対応を決める場合が多い。通常売価に近い形で売り切るには経験が必要で、勤務歴の浅いパート社員が対応しにくいことが課題になっていた。
総菜で試験導入したスーパーでは、値引きや廃棄などでどれだけ売り上げが失われたかを示す「ロス率」が1割強改善したという。売れ残りが減る効果もあり、食品ロス低減につながると訴求する。現状は総菜と日配品が中心だが、今後はAIの精度を高めて「精肉」への対応も検討する。
シノプスの主力事業は店舗の商品在庫をリアルタイムで管理し、足りない品物を自動発注するシステムだ。現在約100社ある取引先を中心にAI値引きを新サービスとして提案し、2022年内に数百件の導入を目指す。