茨城で平安期石器に人の顔 全国初「かまど神」信仰か
茨城県那珂市の下大賀遺跡で、平安時代の竪穴住居跡から発掘された石器に、人の顔が彫られており、注目が集まっている。発掘調査を担う県教育財団によると、かまどでかめを安定させる支脚。人物画を描いたのが見つかった例は珍しく、石製では全国初。絵は人の命をつかさどる「かまど神」の可能性があり、当時の信仰の様子を知る手がかりにもなりそうだ。

支脚は、かまどで煮炊きするかめを固定して載せるための道具。土製が多いが、良質な石材の産地の茨城県北部では石製が使用されていたとされる。人を描いた支脚のうち、千葉県酒々井町と埼玉県深谷市の2カ所で見つかったのは、いずれも土製だった。
那珂市の支脚は2013年の発掘調査で発見。長さ26.3センチ、幅9.3センチ、厚さ7.2センチで、9世紀半ばごろのものとみられる。財団職員が調査報告書を作成するため、クリーニングした際、衣類をまとった人の顔が描かれているのを見つけたという。
焼けて変色した跡の位置から、支脚は人の頭を下にした状態で床に置かれていたことが分かる。当時、かまどに宿る神が煙と一緒に天に上り、家族の悪行を報告すると信じられていたとされる。
財団の担当者は「かめを逆さに埋めて悪い話を封じ込め、家族の安寧を願ったのではないか」と推測する。〔共同〕