大阪万博、出展30カ国とパビリオン建設調整を開始

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)への参加を表明している国・地域の担当者らが会した初の国際会議が26日、2日間の日程を終了した。テーマや計画を説明したほか、パビリオンを自前で建設する約30カ国と建設工事などの具体的な調整を始めた。運営主体の「日本国際博覧会協会」は参加国の相談窓口を設ける予定だ。海外勢の準備が本格化するが課題もなお残る。
「万博がどうあるべきかについての議論ができた」。博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長は26日、国際会議後の記者会見で総括した。会議では日本国際博覧会協会が参加国などの責任者らに万博の理念や計画を説明した。
記者会見で協会は約30カ国と既にパビリオンの建設工事などに関する具体的な調整を個別に始めたことを明らかにした。会議終了後の27日まで続けるという。協会の石毛博行事務総長は関係者間の連携を図るため、参加国の相談事をワンストップで受け付ける窓口を協会内に設けると表明した。

協会は国際会議の期間中、万博で滞在する職員へのサポートなどについて参加者に説明する機会を設けた。質疑応答の時間も確保し、参加者からは会場に供給する電力については脱炭素を目指すべきだとする要望や、会場での水道の使用開始時期など実務的な質問も出たという。
一方、課題も指摘された。会場の人工島・夢洲(ゆめしま)への陸上ルートは、舞洲から入る「夢舞大橋」と、咲洲から入る「夢咲トンネル」の2通りしかない。参加者からはパビリオンなどを建設する際の工事車両の集中について言及があったという。
会場では23年4月以降にパビリオンなどの建設工事が始まる予定で、アクセスが限られる中で多くの工事を円滑に進められるかが課題となる。
円安や建設資材の高騰が続く中、最大で約1850億円とされる会場建設費の上振れへの懸念も依然残る。協会は会場の整備や建設工事の入札を進めるが、大手ゼネコンの幹部は「我々も営利企業だ」と警戒感を示す。
9月にはイベントなどで活用する「小催事場」の入札があったが、予定価格内での応札者がなく、工事事業者が決まらなかった。協会は条件を変更して再入札する。
ケルケンツェス氏は会見で「これまでの万博でも、それぞれで固有の課題を抱えてきた」と指摘した上で、「協会と参加国が協調して課題を乗り越えていってほしい」と語った。石毛氏は「パビリオンなどの会場建設工事について、準備を急ぐよう各国に強く要請した」と述べた。
国際会議は来年以降も開催する方針で、石毛氏は次回の開催時期を「来年秋以降」とした。今回は参加未定の国の関係者も出席したが、次回以降は協会と契約を結び、公式に参加を表明した国などに絞った会議にする。
開幕まで残り2年半を切る中、協会の参加国や地元自治体、企業との調整がさらに重要になる。

2025年に開催される大阪・関西万博のニュースや特集をまとめました。参加国やパビリオン、地元の盛り上がりなど、最新情報を読めます。
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