アリ足跡物質でハダニ駆逐? 農薬開発期待、京大チーム

京都大学などのチームは、農作物を食い荒らす害虫のハダニに、天敵のアリの足跡に含まれる有機物質を避ける習性があることが分かったとの研究結果を26日までにまとめた。ハダニを追い払う天然物質由来の農薬開発につながる可能性があるという。国際科学誌に発表した。
チームによると、ハダニは全世界に生息し、大豆やナスなど千種類以上の農作物を食い荒らすという。約10日で次の世代が生まれるため、新しい農薬を開発しても耐性を持つ子孫がすぐに現れて効かなくなるという。
チームは、ネコを飼うとネズミがネコを恐れて姿を消すことに着目。アリが歩いた後に残す物質をハダニが避けるのではないかと推測した。
日本に多く生息するアミメアリとクロヤマアリの人工巣の巣穴入り口近くに葉を置いてアリの足跡を付けた。足跡が付いていない葉を並べて比較すると、ハダニ約80匹のうち7割以上がアリの足跡が付いた葉を避けたという。
チームは「新しい農薬の開発と、それに耐性を持つ害虫の登場といういたちごっこは際限がない。直面する難題を打ち破りたい」としている。〔共同〕