西日本豪雨の被災者ら、河川管理巡り国など提訴 岡山
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2018年の西日本豪雨で岡山県倉敷市真備町地区の河川が氾濫し、甚大な浸水被害が出たのは、河川などの管理が不十分だったのが原因だとして、地区住民ら215人が25日、国や県、市に計約6億4000万円の損害賠償を求め、岡山地裁に提訴した。
原告は、地区の被災者らでつくる任意団体「り災者の会」の会員ら。岡山地裁では、同会とは別に「真備水害訴訟原告団」の約40人が国や県、市、中国電力に計約8億6千万円の損害賠償を求めて既に提訴している。
訴状によると、地区を流れる小田川と支流の堤防が決壊。地区の4分の1が浸水し、災害関連死を除き51人が死亡した。住民側は、国と県が堤防を改修せずに低いまま放置したと主張。堤防の切れ目にあり、増水時に閉める必要がある「陸閘(りっこう)」と呼ばれるゲートを、県と市が閉鎖しなかったとしている。
さらに国に対し、増水時の小田川の水位を低下させるため高梁川との合流地点を下流に移す工事を先送りにしたと批判。高梁川水系にある新成羽川ダム(岡山県高梁市)の放流量の調整を設置者の中国電力に指示するのを怠ったとしている。
提訴後、「り災者の会」会長の吉田勤さん(75)らは真備町地区で記者会見。「訴訟を通じて行政の災害への考えを改めてほしい」と話した。
豪雨で娘(当時27)と孫(同5)を亡くした倉敷市の会社員、三宅常男さん(62)は「3年たっても(心が)安定しない。同じ思いをする人が出ないよう、一歩を踏み出さないといけないと思った」と述べた。〔共同〕
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