万博に向け自動運転バス実験 レベル4、大阪メトロなど
大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は1日、大阪市の人工島、舞洲(まいしま)でNTTコミュニケーションズなど6社と自動運転バスの実証実験を始めた。専用のテストコースを使い一定の条件で運転を完全自動化する「レベル4」の走行などを2023年1月末まで行う。25年国際博覧会(大阪・関西万博)で導入を目指す。
2種類の小型バスが1台ずつ、万博会場を想定した1周約400メートルの専用コースを走行した。走路や速度は事前のプログラミングで設定し、障害物がある場合は車体に取り付けたセンサーで認識して停車する。自動運転水準はレベル4で、添乗員は乗車するものの運転には関わらない。

今後は高速通信規格「5G」を利用して遠隔から運行状況を監視し、操作する。コース周辺の公道で全地球測位システム(GPS)を活用し、運転手が乗車して状況に応じて手動運転に切り替える「レベル2」の走行も実験する。GPSを受信しづらい場所では道路に特殊な塗料を塗り、それを認識・追従する形の自動運転に取り組む。
大阪メトロの都市型MaaSモビリティ部の三宅一成氏は「自動運転は万博での省人化につながる。様々な技術を実験して精度を高めたい」と話した。

大阪メトロは万博会場への利便性向上のため24年度までに中央線を会場の夢洲(ゆめしま)まで延伸する計画。自動運転バスは新駅から万博会場までの輸送や会場内の移動手段に想定する。地下鉄と新たな移動手段を組み合わせて万博開催時における輸送能力を強化する。
大阪メトロは22年3~4月にも関西電力やNTTドコモなど9社と自動運転バスの実証実験を実施した。前回は一部で添乗員による運転への関与がある「レベル4相当」の走行だった。今回の実験では遠隔操作など新たな仕組みも試す。
自動運転の実用化に向けた取り組みはほかの関西の鉄道事業者でも進む。JR西日本は10月に滋賀県内の専用テストコースにおいて自動運転で隊列走行するバス高速輸送システム(BRT)の実験を始めた。23年度後半から広島県東広島市内で実証実験を始める。

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