がん治療論文データ捏造、100カ所超 岡山大学教授
岡山大は24日、学術研究院医歯薬学域の神谷厚範教授(56)が2019年に発表したがん治療に関する論文に、100カ所を超える実験データや画像の捏造(ねつぞう)、改ざんがあったとする調査結果を公表した。岡山大は神谷教授に論文の撤回を勧告しており、処分についても検討する。
岡山大などによると、論文は自律神経の操作によって、がんを抑制する新たな治療法の開発につながる可能性について研究したもので、19年7月8日付の科学誌「ネイチャーニューロサイエンス」に発表された。
20年9月に匿名の告発があり、岡山大と、神谷教授が以前所属していた国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が調査委員会を設置。同じ画像を使い回すことによる捏造などを確認した。
神谷教授は画像の取り違えがあったなどと不正を否定する一方で「18年6月の大阪府北部地震でハードディスクが故障した」とデータの提供を拒否した。
岡山大は教授の主張を裏付ける事実は認められなかったとしている。槙野博史学長は「本学教員としてあるまじき行為で、到底容認されるものではない」などとするコメントを出した。〔共同〕