京都市長「空き家新税で活性化」 26年度にも導入決定

京都市は24日、空き家や別荘の所有者に課税する「非居住住宅利活用促進税」について総務相の同意を得たと発表した。日常的に住まいとしていない物件の所有者への課税を2026年度にも始める。門川大作市長は「若い人が住み続けられるようコミュニティの活性化につながる制度にしたい」と話した。
京都市は固定資産税や住民税の課税状況、現地調査などで居住実態を確認したうえで空き家や別荘として使われている物件の所有者に税負担を求める。25年度に予定する自治体システムの標準化に合わせて課税システムを整備する。26年1月時点の居住実態に基づいて26年度から課税を始める方針だ。
税率は家屋の固定資産評価額に応じて3段階に分かれる。例えば郊外の築40年の戸建て住宅の場合で年間約3万円、都心部にある1億円の高級マンションで年間約90万円といった負担を見込む。築100年の京町家などで家屋評価額が20万円を下回る場合は課税しない。
最初の5年間は評価額100万円未満の物件も課税免除する。転勤や入院などの事情で一時的に住んでいない場合も対象から外す。京都市は課税対象となる物件の数を1万5000件程度とし、年間約9億5000万円の税収を見込む。
得られた税収は空き家対策などに充てる。居住者のいない住宅を賃貸や売買に回してもらうことで人口減少に歯止めをかけるほか、防災対策などの社会的コストの増加を抑えたい考えだ。門川市長は「空き家の処分は親族などにとってエネルギーのいる作業になる。導入開始までの3年間に周知や議論を進めたい」と話す。
制度は5年ごとに効果などを検証して見直す。京都市は建物の高さ規制などの影響でマンションなどの住宅供給が不足し、若い世代が市外に流出する課題があった。22年3月に新税の導入を盛り込んだ条例案を可決していた。適正な負担を求めながら中古住宅の流通促進にもつなげる考えだ。