薬学部新設・定員増認めず 25年度以降、文科省方針
薬剤師を養成する大学の6年制薬学部について、文部科学省は、2025年度以降の新設と定員増を原則として認めない方針を決めた。薬学部設置は大学が自由に申請でき、法令に適合すれば認可されるため、近年は薬剤師の供給過多の恐れが指摘されていた。早ければ22年度中に大学設置基準を改正する。
22日に開かれた薬学教育に関する有識者会議で定員抑制策を盛り込んだ報告書案を示し、大筋で了承された。ただ、薬剤師は都心部に偏在するため地域差が大きく、薬剤師不足の都道府県は例外的に新設・定員増を認める。
薬剤師養成の薬学部は06年度に4年制から6年制になり、この前後から新設が相次いだ。21年度の6年制薬学部は77大学79学部となっている。
厚生労働省の推計によると、20年に約32万人だった薬剤師数は、45年に最大で約45万人となる。一方、薬局や病院で必要な人数は33万~40万人程度で、供給が需要を上回る見込み。就職できなかったり、待遇が悪化したりする恐れがあり、文科省は定員抑制でそうした事態を防ぎたい考えだ。
また、現状でも定員割れが相次ぎ、国家試験合格率が低い大学がある。文科省によると、特に私立大では、入学定員充足率80%以下が約3割に上り、6年生までの国家試験合格率もばらつきがある。
報告書案は「入学者の確保・選抜の在り方のみならず、入学後の教育の実施体制など教育の質を向上させるための取り組みを充実・強化する必要がある」と指摘した。〔共同〕