オムロン、JMDC持ち分法適用会社に 予防サービス開発

オムロンは22日、医療データ分析のJMDCに出資すると発表した。大株主のノーリツ鋼機から発行済み株式の33%を1118億円で取得する。両社が持つ医療データを組み合わせ、病気の予防支援サービスなどの開発を目指す。
オムロンが買収・出資する案件では過去最大となる。25日に1株6000円でJMDC株式を取得する予定。オムロンは役員を派遣し、持ち分法適用会社とする方針だ。
JMDCは2002年設立で、東証1部に上場している。前身はオリンパスの子会社だった日本医療データセンターで、13年にノーリツ鋼機が買収した。21年9月時点で同社がJMDC株の約49%を持っていた。
製薬会社や保険会社に対してレセプト(診療報酬明細書)など医療データの分析結果を提供する事業が主力。22年3月期の連結純利益(国際会計基準)は前期比約3割増の32億円の見込み。ここ数年で急成長している。
JMDCが健康保険組合から集めたデータの累積は1400万人分に上る。オムロンは心電計や血圧計で蓄積したデータと組み合わせ、病気の重症化を予防する製品やサービスなどを開発する。山田義仁社長は22日、「日本の医療を変える価値を創出していきたい」とコメントした。
オムロンは血圧計の世界首位で、各国の薬局などを販路に持つ。JMDCはこのネットワークを生かし、国内で手がける薬局向けシステム事業を海外でも展開する方針だ。
オムロンは製品を生産して販売する「モノ売り」から課題解決型の「コト売り」に事業転換を目指している。今回の出資は戦略の一環。19年には車載部品をつくる事業を約1000億円で日本電産に売却するなど事業ポートフォリオの入れ替えを進めている。