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広がるご当地インクの輪 色との出合い、旅にいざなう

心に残る風景や街のイメージを表現した「ご当地インク」が人気を集めている。これまで約1000色が発売されたとみられ、万年筆のユーザー層は若者にまで広がる。新型コロナウイルス禍の中、それぞれの色に込められた「物語」が、手にした人を旅にいざなう。

青森県弘前市の文具店「平山万年堂」の平山幸一店長は約15年前、文具メーカーからオリジナルインクを作れると聞き、少ないロットの50ミリリットル瓶24個を発注。弘前城の桜と石垣との重なりを表現、日常で使ってもらえたらと「弘前ピンクグレー」を生み出した。今では「津軽黒房スグリ」「岩木山ブルーグレー」など18色が店頭に並ぶ。

先駆けになったのは、神戸市のナガサワ文具センターが2007年に発売した「Kobe INK物語」。阪神大震災から10年以上がたち、復興した姿を恩ある人々に手紙で伝えたいとの思いの下、六甲山、神戸の港、旧居留地からインスピレーションを得た3色が生まれた。同社の竹内直行さんは「街の色として後世に残していきたい」と話し、今では100色を超える。

ご当地インクだけで約800色を集めた東京都文京区のライター、武田健さんは色彩に魅了された一人。「それぞれにストーリーが込められている。想像する楽しさがあり、心を豊かにしてくれる」とほほ笑む。

セーラー万年筆は、全国の文具店からご当地インク作りを請け負う。同社によると、SNS(交流サイト)で新色発売の情報がすぐ広まるため、店側はリスクなく展開しやすい。多色化と万年筆の低価格化で若い世代でも人気となり、デジタルに疲れた人々がアナログに戻ってきたとの見方も出ているという。

インクを生み出すのは大きなメーカーや文具店だけではない。日韓の2人が立ち上げた「TONO&LIMS(トノアンドリムズ)」は、季節ごとに約30色のペースで新たな色を生み出す。都道府県の花をテーマにしたものは、これまでに約30色を作った。

雑誌「趣味の文具箱」の清水茂樹編集長は、字を書くだけでなく、絵を描くのにも使われ「10年ほど前から人気が急速に盛り上がっている」と分析。旅情あふれるネーミングやパッケージがコレクターの人気を集めており「コロナ禍で地方の文具店は苦しいが、ご当地インクを求め『店に行こうかな』となってほしい」と旅のきっかけになればと願っている。〔共同〕

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