再審無罪、二審も大阪府に賠償命令 小6女児焼死
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大阪市東住吉区で1995年に小学6年の女児が焼死した住宅火災を巡り、再審無罪が確定した母親の青木恵子さん(59)が身柄を不当に拘束されたとして、大阪府と国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9日、大阪高裁であった。牧賢二裁判長は府に約1220万円の賠償を命じた一審判決を支持し、府の控訴を棄却した。
起訴した検察の対応を巡る国の賠償責任は一審に続き認めなかった。青木さん側の控訴を棄却した。
訴訟では警察や検察の捜査の違法性の有無が主な焦点だった。
牧裁判長は一審判決と同様に、警察官が精神的な圧迫を加え、虚偽の自白をせざるを得ない状況に追い込んだとして「取り調べは社会通念上相当と認められる限度を超えていた」と指摘した。
検察の起訴や捜査については「自白の信用性の欠如を容易に認識できたとはいえない」と判断し、「違法性は断定できない」とした。
青木さんは当初、殺人などの罪で起訴され、2006年に最高裁で無期懲役が確定し服役した。大阪高裁で再審開始が決まった15年10月、逮捕から約20年を経て釈放。16年に再審無罪が確定し、違法な捜査で逮捕、起訴されたとして提訴した。
判決後、青木さんは記者会見し「上告し最後まで闘いたい」と話した。
大阪府警の田畑修治監察室長は「判決書の内容を精査し今後の対応を決めたい」とのコメントを出した。大阪地検の北岡克哉次席検事は「コメントは差し控えたい」とした。