田辺三菱子会社の植物由来コロナワクチン カナダで承認

田辺三菱製薬は24日、カナダの子会社メディカゴが開発を進めてきた新型コロナウイルスワクチンが、カナダで承認を取得したと発表した。植物由来の新型コロナワクチンの実用化は世界で初めて。田辺三菱は日本でも7~9月の承認申請を目指す。
ワクチン未接種の18~64歳を対象に21日間隔で2回接種する。「ウイルス様粒子(VLP)」タイプで、植物にウイルスの遺伝子を組み込み葉からウイルスの形を模した粒子を抽出して有効成分とする。カナダ政府と最大7600万回分を供給する契約を結んでいる。
メディカゴはカナダや米国など6カ国をまたいで最終段階の臨床試験(治験)を実施してきた。カナダでは段階的に治験などのデータを提出する「ローリングサブミッション」を活用し、2021年12月に承認を申請した。
最終段階の治験では、変異型の「デルタ型」に対しては75%、「ガンマ型」に対しては89%の発症予防効果があった。重篤な副作用は確認されなかった。「オミクロン型」に対しては、効果を検証するため抗体反応を確認する試験を行っている。
ワクチンの既接種者を対象にした追加接種向けの治験も検討しているほか、小児を対象にした治験も早期に始める方針だ。
米国や世界保健機関(WHO)にも近く承認を申請する。日本では21年10月から実施中の国内治験の結果と、カナダでの申請に用いたデータを踏まえて22年7~9月にも承認申請する方針だ。現在は米国でのみ生産するが、カナダでの生産も計画。将来的に日本での生産も検討する。
生育が早いたばこ属の植物を使うため、5~8週間で効率的に生産できる。実用化で先行した米ファイザーや米モデルナなどの「メッセンジャーRNA(mRNA)」タイプのワクチンと比べ、コストを抑えられるという。
セ氏2~8度で冷蔵保存でき、保管や輸送時に冷凍設備が必要ない。冷凍の輸送インフラが整っていない新興国でもワクチン普及に貢献できる可能性がある。