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脱炭素時代、輝く英知 関西企業の技術が光る

関西経済特集

脱炭素やESG(環境・社会・企業統治)をキーワードに、関西で企業の動きが加速している。製造業やエネルギー関連などの技術が光り、新型コロナウイルス禍の先を見据えたまちづくりも勢いづく。2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)を控え、関西が大きく変わろうとしている。

ミニショベルを電動に 水素補給拠点100カ所

国立環境研究所によると、2019年度の日本の二酸化炭素(CO2)排出量は11億800万㌧。脱炭素への取り組みは急務で、各分野で関西企業が課題解決に挑む。

世界の大きな流れの一つに電化がある。クボタは日本で電動の小型トラクターの生産を始め、日本と環境規制の厳しいフランスに投入する。電動のミニショベルも23年に日本かドイツで量産開始を予定する。水素を活用した燃料電池車(FCV)モデルの研究開発も進めており、実用化を目指す。

京阪バスは関西電力、中国比亜迪(BYD)の日本法人、ビーワイディージャパンと提携し、京都市内で電気バスを走らせる実証実験を行う。

再生可能エネルギーを使った発電に関する研究や開発も進む。洋上風力発電の土台の設計・製造を手掛けるのは日立造船だ。23年にも発電1キロワットあたりの建設費が60万円とこれまでより3割抑えた新工法を実用化する。

住友電気工業は「レドックスフロー電池」という大型の蓄電池の量産技術を世界で初めて確立。出力が不安定な再エネ電力の欠点を補う。関電は液化天然ガス(LNG)を使う既設の火力発電施設で水素混焼を実現できないか調査を実施。LNGを水素に置き換えた分だけCO2削減となるという。

燃焼時にCO2を出さない次世代燃料として、期待が高まるのは水素だ。岩谷産業は製造から輸送・貯蔵、利用までを手掛け、国内の販売量で約7割のシェアを持つ。すでに大阪など国内に3カ所の液化水素の製造拠点があり、さらに関東で増設する予定だ。燃料電池車向けの水素ステーションは、23年度までに国内外で100カ所以上に増やす。

水素の利用ではヤンマーホールディングスが実証実験向けに燃料電池船を開発。川崎重工業などと共同で水素を燃料とするエンジンも開発する計画だ。パナソニックは水素エネルギーを直接利用した純水素燃料電池を開発。この電池と太陽光発電を組み合わせた電力システムの事業化を目指す。

新興企業も商機を捉えようとしている。京都大学発スタートアップ、エネコートテクノロジーズ(京都市)は「ペロブスカイト型」と呼ばれる次世代太陽電池の実用化で世界の先頭集団にいる。大阪大学発のマイクロ波化学(大阪府吹田市)は電磁波を使った省エネ技術を手がけ、化学品や製薬の工場のCO2削減に取り組む。

融資で企業のESG支援 CO2削減で金利下げ

企業のESG(環境・社会・企業統治)対応を促すため、数値目標の達成で貸出金利を引き下げる「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」と呼ばれる新たな融資が広がっている。地方銀行でその先頭を走るのは滋賀銀行だ。2020年9月に地銀単独で初めて実行し、これまでに地域の中小企業を中心に6件を手掛けた。合計の融資額は約90億円に上る。

SLLの仕組みはこうだ。融資先企業との間でESGに関連した目標値を設定。毎年成果を検証して、達成すれば基準金利から一定の割合を引き下げる。安易な目標設定を避けるために、格付投資情報センター(R&I)やしがぎん経済文化センターといった第三者機関が妥当性を評価する。滋賀銀が企業の目標達成を支援する「伴走型」といった特徴がある。

これまでに山崎砂利商店(大津市)が汚染土壌のリサイクル率、シン・エナジー(神戸市)が再生可能エネルギー発電所建設件数、日本郵船が気候変動対策の国際評価の最高ランク維持を目標に設定した。低金利下で金利優遇のメリットは小さいが、企業はESGに積極的に取り組む企業としての「お墨付き」を得る。

滋賀銀の取り組みを自治体も後押しする。滋賀県内に事業所を持つ企業が二酸化炭素(CO2)排出削減目標を県に提出し達成状況を毎年報告、滋賀銀は優遇金利で融資するとともに計画づくりなどを支援する。県の制度にのっとった報告で済むため中小が利用しやすく、取り組みの裾野を広げる狙いだ。小型モーター製造の草津電機(滋賀県草津市)に実施した。

滋賀銀は5年間でSLL実行100件の目標を掲げ、企業へのコンサルティングを加速する。高橋祥二郎頭取は「社会的な貢献がないと、企業は認められなくなった。特にグローバル企業の下請け企業はこの影響を免れない。SLLで融資先の企業価値を上げ、地域の持続可能性を高めていく」と強調する。

中小、ユニーク家電競う バケツ大の洗濯機や0.5合炊飯器

ドウシシャの小型洗濯機(左)は不使用時には折り畳める(右)

新型コロナウイルス禍の巣ごもりを機に、関西発のユニーク家電に注目が集まっている。関西では家電産業が経済を支えてきた歴史があり、大手だけでなく中堅、中小各社もブームに依存しない新需要の開拓に躍起だ。

「マスクや靴下を分けて洗いたい人は多いのでは」。そう分析したドウシシャが5月に発売したのは4.5㍑の小型洗濯機(市場想定価格8778円)だ。投入できる洗濯物は200グラムと少量だが、マスクや靴下など汚れが気になるものやシミを落としたいワイシャツのみを約10分で洗える。

バケツほどの大きさで不使用時には高さ11センチまで折り畳むことができる。単身世帯などコロナ後の需要も見据える。

ライフオンプロダクツの携帯型扇風機

ライフオンプロダクツ(大阪市)の手のひらに収まる160グラムの扇風機(同2728円)は約5センチの薄さが特徴。デザイン性や在宅勤務時に使える点が受け、3月の発売から約3万個を売るヒット商品だ。

調理家電を強化する企業も多い。家電卸の電響社は小型の調理家電の展開を始めた。5月上旬に発売したのはA4サイズのホットプレート(同9878円)。小型ながら、たこ焼き用など5種類のプレートをそろえ、左右で2種類を使い分けられるほか、鉄板の温度も変えられるようにした。

同社が5月下旬に発売した炊飯器(同6578円)も好評だ。一度に炊けるコメの量は最大1.5合。最も少量で0.5合を約25分で炊き上げる。5月にクラウドファンディングを実施すると「一人暮らしなのでぜひ使いたい」など好意的な声があふれた。

中堅家電のライソン(大阪府東大阪市)は4月に発売した多機能ホットサンド機(同7700円)が人気だ。ホットサンドのほか、ドーナツや焼きおにぎりなど全7種類のプレートを付けた。同社によると「多種類を調理できる商品は珍しい」という。

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