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五輪コースでランニングを 札幌、レガシーで観光振興

東京五輪の舞台を走ってみませんか――。札幌市が、2021年夏の東京五輪のマラソンコースをレガシー(遺産)として活用し、観光客誘致や市民の運動の動機づけに力を入れている。発着点に記念の銘板を設置し、ランナー用の施設も整備。ランニングブームを追い風に「世界に発信した『走る街』のブランドを定着させたい」と意気込む。

21年12月中旬、市中心部の中島公園。吐く息が白い寒空の下、五輪でコースに使われた市道沿いを市民ランナー6人が駆け抜けた。ランナーの1人は「トップアスリートのスピードや駆け引きを体感して走れる。日本選手の激走を思い返した」と興奮した様子。地元開催でマラソン熱が高まり出勤前に5キロ走るのが日課になったという。

東京五輪のマラソンは繁華街ススキノや赤れんが庁舎など、市の観光名所を巡るコースが舞台に。引退を表明して臨んだ大迫傑さんが6位入賞した男子マラソンはテレビ中継の視聴率が30%を超えるなど注目を集めた。

市は21年春から外郭団体も交えコースの活用策を検討。生活の場である市街地一帯を「レガシー化」する工夫が求められ、先行例として東京都の「皇居ラン」に着目した。安全対策や周辺の設備を参考にして「札幌版皇居ラン『中島公園』コース」や「オリンピック銘板巡りコース」など8つのモデルコースを策定。10月に事業を始めた。

目玉は靴の貸し出しやシャワーを使えるランニング拠点の開設だ。民間ホテルの一角に設け、インストラクターが常駐して走りの助言を行うほか、愛好者が集うサロンの役割も果たす。利用者は3カ月で延べ千人に達し、運営する団体は「終業後に気軽に走りたい会社員に好評。銘板の写真映えを目当てに若者も増えている」と説明する。

笹川スポーツ財団(東京)によると、年1回以上ランニングをする人は20年に初めて推計1千万人を突破。新型コロナウイルス禍で手ごろな運動手段として関心も高い。市は今後、初心者や観光客向けに、走りとグルメを掛け合わせた催しの充実を目指す。例年8月に行われる「北海道マラソン」にも五輪のコースを取り入れる考えだ。

五輪のレガシーを巡っては、自転車競技の会場の静岡県裾野市が富士山を眺めて走るサイクリングツアーを21年11月に実施。都はスケートボードなどを開催した江東区の会場を、国内で数少ない都市型スポーツの拠点に再整備する考えを示す。

広島経済大の藤口光紀教授(スポーツ経営)は「スポーツの祭典は盛り上がりが一時的で、人材や設備を後年に生かせない例が多い。観光とは相性が良く、五輪のレガシーを長く伝える手段に有効だ」と指摘した。〔共同〕

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