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尼崎脱線事故16年、犠牲者に祈り 慰霊式は2年連続中止

(更新)
「祈りの杜」の慰霊碑前で一礼するJR西日本の長谷川一明社長(右から2人目)ら(25日午前7時19分、兵庫県尼崎市)=代表撮影

兵庫県尼崎市で乗客106人が亡くなり、562人が負傷したJR福知山線脱線事故から25日で16年を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大により、JR西日本による追悼慰霊式は2年連続で中止となった。事故現場には祭壇や献花台が用意され、遺族らが静かに冥福を祈った。

全体の式典は中止されたが、事故現場に整備された追悼慰霊施設「祈りの杜(もり)」には25日、多くの遺族や負傷者が集まった。現場では事故で子供を亡くした遺族による「慰霊のことば」がJR西日本により代読され「(鉄道の)高速化や速達性より安全性を重んじる世の中になってほしい。天国から応援して」と話した。

「祈りの杜」を訪れた後に取材に応じる遺族の上田弘志さん(25日午前、兵庫県尼崎市)=代表撮影

午前11時時点で遺族ら40組が現場を訪れた。事故で次男の昌毅さん(当時18)を亡くした上田弘志さん(66)は「きょうは孫が1歳になったことを報告した。目に見えなくても、昌毅はそばにいてくれている」と話した。献花台など現場の様子はオンラインで中継し、希望する遺族らが自宅から視聴できるようにした。

現場を通過する列車では発生時刻の午前9時18分を前に「本日で事故から16年を迎えます」とアナウンスが流れた。乗客の多くはスマートフォンから顔を上げ、列車が衝突したマンションの方に向かって手を合わせたり目を潤ませたりした。

1両目に乗車した会社員の花見泰成さん(46)は「毎年4月25日は休暇を取り、現場で黙とうをささげてきた。きょうは鉄道の安全を考える日だ」と話した。

脱線事故現場近くを通過する電車内で手を合わせる乗客(25日午前、兵庫県尼崎市)=代表撮影

長谷川一明社長らJR西日本の役員は午前7時過ぎ、施設で献花し、事故発生時刻の午前9時18分に合わせて黙とうをささげた。長谷川社長は「かけがえのない、尊い命を奪ってしまった」と謝罪。「どれだけ時間が経過しても事故を決して風化させることなく、安全の取り組みの原点としていく」と誓った。

現場の線路脇では花を手向ける人もいた。近所に住む男性(81)は「慰霊施設が整備され、風景がずいぶん変わった。二度とこんな事故を繰り返してはいけない」と話した。

JR西日本によると社員2万6181人(2021年時点)のうち、事故後に入社した割合は56%を占める。事故の教訓を引き継ぐため、同社は3月、事故発生の背景や事故後の安全対策、今後の課題をまとめた冊子を作成した。今後、社員研修で活用する。

慰霊施設「祈りの杜」として整備された尼崎JR脱線事故現場(25日午前、兵庫県尼崎市)=共同

事故は05年4月25日に発生した。尼崎市のJR福知山線塚口―尼崎間で、快速列車が制限速度70キロの急カーブに116キロで進入。曲がりきれず脱線し、線路脇のマンションに激突した。

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