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大阪は「水の都」? 水運で繁栄、規制緩和で再整備

とことん調査隊

大阪市役所から中之島公園にかけて散策をすると、対岸の北浜エリアには川に面したカフェやレストランが見える。かつて「水の都」と呼ばれた大阪で、水辺の再生が進んでいる。歴史を振り返りつつ、現在のまちづくりの動向を探った。

大阪メトロ堺筋本町駅から歩いて約6分。阪神高速道路が頭上を走る東横堀川のほとりで、2021年夏の開業予定の「β(ベータ)本町橋」の整備が進む。パドルをこいで水上を進むスタンドアップパドルボードやクルージングを楽しめる水辺の施設だ。

大阪市の都心部には、川が口の字に巡る「水の回廊」がある。大阪府・市や経済界が立ち上げた水都大阪コンソーシアムの田中智彦ディレクターは「都市部に残されているのは世界的にもまれで、活用の余地がある」と話す。

歴史を遡ってみよう。16世紀に豊臣秀吉が当時の大坂の都市開発に着手する。大坂城の西側に広がる城下町では、商人が水運のために「堀川」を次々と開いた。「天下の台所」と呼ばれた江戸時代にも、堀川は物流の動脈として生活に根付いていた。

明治から大正時代にかけて、文化や芸術も花開く。商業や物流の中心だった中之島周辺には、大阪図書館(現・大阪府立中之島図書館)や大阪市中央公会堂といった建物ができていく。大阪は水辺を生かした景観から「水の都」と呼ばれるようになった。

ただ、その後の都市発展の代償として排水によって川は汚れ、物流の手段も船から自動車に移っていく。川は埋め立てられたり、上空に高速道路が建設されたりして、水の都の景観は失われていった。

転機は01年。政府の都市再生プロジェクトに指定され、水の都の再生へ官民が連携して動き出した。

ミナミを代表する観光スポットの道頓堀。テラス席のある飲食店が並び、イベントが開かれる川沿いの遊歩道「とんぼりリバーウォーク」が04年にオープンした。

中之島の中央公会堂や中之島公園を川を挟んで眺めることができる「北浜テラス」も、水の都再生の取り組みで誕生した。川に面しておしゃれなカフェやレストランが立ち並び、昼夜問わずにぎわうようになった。新型コロナウイルスの感染拡大前には、年間20万人が訪れる年も。北浜水辺協議会の理事を務める山根秀宣さんは「カフェやスイーツ店、美容室が増え、北浜の雰囲気も一気に変わっていった」と話す。

川に面した土地は治水や公共性の観点から商業利用が制限されていたが、水辺を生かしたまちづくりの要望が高まり、04年から国の特例措置としてカフェテラスやイベントに使えるようになった。道頓堀や中之島はいち早くこれを活用。11年には特例措置は一般化され、地域の要望をもとに河川管理者が指定した区域での商業利用ができるようになった。

船着き場の整備も進んだ。08年には大阪と京都を結ぶ船の発着場として栄えた八軒家浜を再整備し、オフィスや商業施設、住宅地が混在する街「ほたるまち」には福島港(ほたるまち港)が開港した。外国人観光客の急増もあり、利用者も増え、40を超える定期船やクルーズ船が運航するようになった。

ただ、新型コロナの影響で外国人観光客は激減し、観光業には大きな打撃に。日本人観光客を取り込むためにも、隠れた見どころをアピールするなど、水の都の魅力を伝える企画を練っている。

水都大阪コンソーシアムの松井伊代子事務局長は「25年の大阪万博を見据えて、テクノロジーを使った取り組みや、ベイエリアとの連携なども視野に、水都大阪の魅力を高めていきたい」と話す。大阪といえば、水の都。国内外の誰もがそう思えるまちづくりへの道は続く。(張耀宇)

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